キャンプ目前の巨人に痛い故障者が発生だ。橋本到外野手(27)が下半身の違和感を訴え、30日までに宮崎で行われている合同自主トレを回避して帰京した。28日の練習中に下半身の肉離れを発症した模様で、程度は不明だが、再び三軍のリハビリ組スタートが濃厚となった。

 由伸監督は宮崎入りに際して「秋季キャンプに参加した選手がどんなコンディションで来るのか楽しみ」と語っていたが、チームで最も手薄な中堅・右翼手候補の離脱は痛恨に違いない。「坂本勇、マギー、ゲレーロ以外はレギュラー白紙」の方針を打ち出したものの、現状では外野に競争環境を生み出せない。長野久義外野手(33)の尻を叩こうにも、チーム内にこれといった“刺客”が見当たらない状況となってしまった。

「陽岱鋼は肩に不安があるし、本当はもうセンターも厳しいぐらい。カメ(亀井)もレギュラーで出るのはね…。センターは重信がギリギリ守れるけれど、到が厳しいとなるとライトはチョーさん(長野)しかいなくなる」(チームスタッフ)

 だからこそ由伸監督も、オフに“雲隠れトレ”を敢行した長野の状態には「あいつは大丈夫なのか」と気をもんでいた。こんがりと日焼けした顔で宮崎入りしたと聞くと「天然か、人工か…」とため息をついていた。

 ただ指揮官にとって救いなのは、長野の状態が例年になく良さそうなことだ。練習時間の短さこそ相変わらずだが、キャッチボールや外野ノックでは、昨年同時期の倍以上の距離で豪快にスローイング。2014年オフの右ヒジ、右ヒザの同時手術以来、スロースターターぶりに拍車がかかっていたが、今年は明らかに体が動いている。寒波に襲われたこの日も、背番号7は「体は元気ですよ~」と白い歯を見せた。

 長野といえば手術前の13年まで3年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得した“名手”。守備に当時の輝きが戻り、開幕から打棒を爆発させてくれさえすれば、ライバル不在の状況を心配する必要もなくなるが…。

 間もなく始まるキャンプでは、由伸監督の鋭い視線が、まずは右翼へ向けられることになる。