【番記者が秘蔵エピソード公開】原さんといえば、正々堂々、礼節を重んじることで知られている。最近では清宮をドラフトで引き当てた日本ハム・木田GM補佐に対して「ガッツポーズするのが早すぎる!」と指摘したとのこと。“らしいな”と思わず笑ってしまった。

 そんな原さんだから、担当していたときも他球団を“口撃”することはほとんどなかった。

 自軍の選手、関係者に対しては厳しくモノを言うことも多かったが、他球団について言及することはまれ。その理由を聞いたことがある。

「球団それぞれ事情がある。それは僕が口を挟むことじゃない」

 巨人という伝統ある球団の指揮官ということも影響したのだろう。大体最後は「若大将」をほうふつとさせる、すがすがしさ満点のコメントで締めくくるのが常だった。

 それでも当時は野村楽天全盛期。ノムさんの代名詞ともいわれる、ボヤキ語録を各紙が取り上げるなか、さらに原監督に突っ込んだことがある。

「もっと自由にモノを言いたいと考えたことはありますか?」。すると答えはこうだった。

「野村(克也)さんとか岡田(彰布)さんとか、何でも言えるのは正直、うらやましいよね。(喜怒哀楽を)もっと出せたらとも思うが、ただこれはキャリアがないとね…」

 本音はいろいろなことをもっと語りたいと思っていたのではないか。

 そして、今後である。

 現在59歳。当然今後も巨人、また他球団の監督として再登板の可能性はあるだろう。どうか、そのときは思う存分、球界全体について語ってほしい。殿堂入りまで果たし“キャリア”など問題視する人は誰もいない。

「ボヤキの原」、そんな人間味あふれる原さんの姿もこの先は見てみたい。