日本ハム・清宮幸太郎内野手(18=早実)が10日、千葉・鎌ケ谷の球団施設で新人合同自主トレ2日目を終えた。前日には清宮のサインをもらえなかった一部ファンが“暴徒化”し、清宮や球団職員を罵倒するという異常事態となったが、一夜明けたこの日は練習後、清宮たっての希望で総勢200人のファン相手に即席の大サイン会が行われたこともあり、大きなトラブルはなし。この“神対応”に球団関係者からは称賛の声が上がった。

 午前9時半過ぎにグラウンドに姿を現した清宮は、ジョギングやストレッチなどでウオーミングアップ。その後は坂道ダッシュを行った後、室内練習場で打撃練習や守備練習、ウエートトレーニングに取り組んだ。自主練習の時間では、2日連続となるロングティー打撃を行い、41スイング中3本の柵越え弾を披露。初日に引き続き好調をアピールした。前日の自主練習ではボール1ケースを使い切るまで打ち続けたが、練習後は「あんなに打たなくてもよかったです」と苦笑気味に振り返りつつ「体は問題ない。気持ちよかったです」と笑顔を見せた。

 この日はエンゼルス・大谷も同じ鎌ケ谷スタジアムで自主トレを行い、公の場では初となるツーショットに集まったファンも色めきたった。

 大谷とは前日の夜に初めてあいさつを交わしたといい「夜に(同期入団の)難波が部屋に来て、そのタイミングで後ろから大谷さんが来た。びっくりしましたよ。『短い間だけどよろしく』と言われて『よろしくお願いします』と握手しました。やっぱり大きかったです」と興奮気味に初対面を語った。

 表向きは変わりなく練習をこなした清宮だが、胸の内にはある思いを秘めていた。新人合同自主トレ初日の9日は雨により室内での練習となり、さらに居残りで自主トレを行ったため、結果的にファンサービスに時間を割くことができずに、サインを求めた一部ファンが暴走。選手寮の前で「清宮を出せ!」「サインしてくれ!」などと大声を上げ、夜遅くまで居座るなどの騒動に発展した。1時間半に及ぶ押し問答の末、ようやく解散。「明日も来るからな!」と捨てぜりふを吐く者もおり、球団関係者も頭を抱えていた。

 そんな状況のなかで一夜明けたこの日の練習後、清宮本人たっての希望で即席のサイン会が開催された。最初こそ大勢のファンに多少面食らっていた様子の清宮だが、約50メートルという長蛇の列を作った総勢200人のファン一人ひとりに丁寧にサインに応じた。

 球団関係者は「“神対応”ですよ。清宮には球団から説明があったわけではないですが、なんとなくファンが残念がっていることを感じたのか、自分から『やる』と言いだして最後の一人までやり通した。大したもんです、助かりました」。

 サインをもらった女性ファンは「そんなことがあったなんて知らなかった。非常識な人をいちいち相手にする必要ないし、自分の練習の時間を大事にしてほしい。それなのに、こうして一人ひとり対応してくれるなんて」と感激しきり。特別に警備員を増員することなく、事態を丸く収めたというわけだ。

「声をかけてくださるファンあってのプロ野球だと思っているので。来てくださる方たちには敬意を払わないといけないと思っている。(ファンサービスは)これからもやれる範囲でやっていきたい」と話した清宮。

 プロ入り早々降って湧いた騒動も“へっちゃら”とばかり、頼もしい大物ルーキーの船出となった。