ドラマ「コウノドリ」のリアル“今橋先生”が引退覚悟の村田に熱いエール

2017年12月27日 16時30分

関係者から感謝状を贈られた村田修一(右)

「コウノドリ」の叫びが吉報を運ぶか――。巨人を自由契約となった村田修一内野手(36)が26日、神奈川県立こども医療センターを今年も家族で訪問。一方、自身の現状に進展はなく“引退覚悟”の苦しい心境を吐露した。すると、そんな男のピンチに立ち上がったのがあの大人気ドラマの舞台でもある同センターの医師らスタッフ陣。村田の真の姿を知ってもらいたいと、リアル“今橋先生”が本紙を通じて力強いエールを送った。

 村田は2006年に長男の閏哉(じゅんや)君(11)が早産による未熟児で生まれたことから、同センターへの慰問や1安打につき1万円を積み立てる「ささえるん打基金」など新生児医療支援に家族で取り組んできた。

 この日も閏哉君とともに新生児集中治療室(NICU)を訪れて入院中の家族を励まし、今季放った100安打分の100万円を寄付。昨年まで同行したジャビットの姿は消えたが、野球ファンの入院児たちには「共に頑張ろう!」と記したサイン色紙を手渡した。

 終始笑顔で子どもたちと写真に収まった村田。だが、自身の進む道はいまだ定まらない。家族の存在を心の支えにオファーを待つ日々を送るが「来年のチームが決まっていないことは、長男、次男は分かっている。小学校で『どこ行くの?』と聞かれるみたい。苦労をかけている」と心苦しさを募らせる。「年が明ければ徐々に他の球団の動きも見えてくると思う。どこまで待つというのは、いずれ決めていかないといけない。その時は辞めるという形にはなりますね」。自分で設けるリミットまでに進展がなければ「引退」に踏み切ることも示唆した。

 そんな村田の姿を複雑な表情で見つめていたのが、同センター・新生児科の豊島勝昭部長だ。閏哉君の担当医でもある同部長は、新生児医療の現場を舞台とした綾野剛主演の人気ドラマ「コウノドリ」(TBS系)で、大森南朋が演じた「今橋先生」のモデルの1人ともなった医師。2年前の前作に続き、同センターがロケ地となった今回の新シリーズには取材協力という形でスタッフにも名前を連ねている。

 豊島部長よると「コウノドリ」の影響は大きく、新生児医療の現場への関心は高まっているという。それでも「ドラマより先に、我々の現場に光を当ててくれたのは村田選手でした。10年前、NICUという単語を知っている人はまだ少なかった。当事者として現場に接し、外に伝える役目を継続して担っていただいたおかげで現在があると思っています」と感謝する。

 ドラマがヒットした今だからこそ「実は村田選手はずっと以前からこの活動をしていたんだ、ということをぜひ多くの人に知っていただきたい」と熱く語った同部長。「彼がすごいのは『やってあげている』といった上から目線なところが一切ないところ。毎回、入院しているご家族、我々スタッフと同じ目線で言葉を交わし、フラットに接してもらえる。彼の人間性の素晴らしさを尊敬しています」と話す。

 それだけに粗暴、独善的といった村田のマイナスイメージが独り歩きしていることが許せない。「世間の一部で広まっているイメージと、我々が知る彼の姿はかけ離れています。球界の方々は、本当の村田選手をどれだけご存じなんでしょうか」と声を大にした。

 横浜時代から続く活動は今年で10年目。豊島部長だけではなく、今やスタッフ全員が村田の応援団だ。「村田選手の状況を気にしていない新生児科の関係者はいません。みんな『なぜ、どこも手を挙げないのか』という思いで見守っています。村田選手が今後どんな道を進むとしても、我々は応援し続けます」。“今橋先生”をはじめ、誰もが吉報を待っている。