投打の主役契約更改に水差した西武の奇妙な“不倫発表会見”

2017年12月09日 16時30分

鈴木本部長は淡々と経緯を説明した

 だから選手が出ていくのか。西武が8日、奇妙な“不倫発表会見”を行った。その影響で最多勝と最優秀防御率に輝いた菊池雄星投手(26)と、初の首位打者と2度目の最多安打に輝いた秋山翔吾外野手(29)の契約更改がすっかりかすんでしまう事態に…。球団のKYぶりに選手は大ブーイングだ。

 この日午前、巨人にFA移籍した野上が球団に退団あいさつに訪れた。その直後の正午ごろ、球団は急きょ球団事務所に報道陣を集め、鈴木葉留彦球団本部長(66)が「妻帯者である球団所属選手が今年1月に都内で未婚の一般女性と不適切な関係を持った事実」を発表した。

 同本部長は「①時期は今年1月②場所は都内③判明した経緯は今月上旬に一般の方からメールによる通報を受け本人に事実関係を確認したところ選手が認めたため⑤処分内容は当該選手に厳重注意をしたとともに再教育を徹底いたします」と事前に配られていた概要を棒読み。「犯罪性がないので選手名は公表できない。訴訟トラブル等は一切ない。通報してきた相手女性は匿名希望なので分かりません」とメディアの個別質問に対応した。

 この日は16勝6敗、防御率1・97の好成績を残したエース・菊池が1億4000万円増の年俸2億4000万円プラス出来高払いでサイン。さらに185安打を放って打率3割2分2厘、ともに自己最多の25本塁打、89打点と活躍した秋山も2000万円増の年俸2億2000万円プラス出来高払いで更改した。4年ぶりのAクラス入りに貢献した投打のヒーローのおめでたいニュースは、事件にも訴訟トラブルにもなっていない所属選手の不倫発表で完全に脇へ押しやられてしまった。

 西武は2004年に発覚した西武鉄道有価証券報告書の虚偽記載事件で当時のグループ総帥・堤義明氏が失脚。球団でも07年に裏金問題が表面化した反省から社会と球界のルールを順守するために「ライオンズ憲章」を制定するなどグループを挙げてコンプライアンス徹底に努めてきた。

 これまでも所属選手の交通違反や軽微な事故、未成年選手の喫煙をあえて球団側から公表し、社会的制裁を受けてきた。この姿勢自体に問題はないだろうが、西武以外の11球団も同じような価値観でルールを順守させているわけではない。むしろ選手は他球団の選手から「かわいそうだな」と同情される始末で「ウチの球団は選手を守ってはくれない」と不公平感を抱くことになっている。

 本社向けのアピールとも言えるこの日の会見で“最大の被害者”となってしまったのが、当該不倫発覚選手以外の妻帯者22人だ。

 ある選手は「こんな妙な発表の仕方をしたら、家族のいる他の選手まで疑われるじゃないですか」と匿名としたことに苦言を呈した。こんな球団体質がFA退団者の量産につながっているのかもしれない。(金額は推定)