巨人 FA野上獲得で「功労者の切り捨て」あるのか

2017年12月05日 16時30分

入団会見に臨んだ野上。右は由伸監督

 G党にとって悩ましい日々が再び始まった。西武からFA宣言し、巨人移籍が決まった野上亮磨投手(30)の入団会見が4日、都内で開かれた。3年総額4億5000万円で、背番号は「23」。高橋由伸監督(42)はローテの軸候補の加入を歓迎し、高い期待を寄せた。ただ西武での年俸が「Bランク」だった右腕の獲得に伴い、避けられないのが金銭及び人的補償。今回の「プロテクトリスト」作成は難航を極めそうだ。

 夕方から都内の一流ホテルで開かれた入団会見。緊張気味の野上の両脇を由伸監督と鹿取GMが固め、会場には大勢の報道陣が詰め掛けた。

 まずは鹿取GMが「大きな故障なく、成績にも表れない部分も含めて総合力が高い投手。調査を重ね、交渉初日からアタックを重ねました」と獲得に乗り出した経緯を説明。野上は「鹿取GMに感謝したいと思います。1年間ケガをせずにローテを守って、2桁勝てるように頑張ります」と意気込みを語った。

 マイコラス流出が不可避な状況となりつつあるなか、ローテ候補の補強は由伸監督の要望したことでもあった。指揮官は「私が現役最後のシーズンで対戦があって、(野上から)ホームランを打っているんですけれども、少し上からモノが言えるかな」とジョーク交じりに切り出し、場を和ませると「チーム再建に向けてたくさん補強ポイントがある中で、先発投手は足りない部分。私の印象ではコントロールが良く、今年は1年間ローテを守った。まだまだ30歳。まだまだ伸びる投手だと思っている」と期待を口にした。

 今季途中からチーム編成を担う鹿取GMにとっては、これがオフの補強初仕事。会見終了後は、背番号23のユニホームに袖を通してフォトセッションに応じる野上の姿に目を細めたが、立場上は安堵している余裕はない。西武での野上の年俸は、金銭に加えて人的補償が発生する「Bランク」。今後は2週間以内に旧所属球団に28人のプロテクト選手名簿を提出しなければならない。

 FAトリプル補強を敢行した昨オフは、Bランクだった山口俊の補償として当時3年目の平良がDeNAへ移籍。同じくBランクの陽岱鋼については日本ハムが金銭補償のみを選択したため、選手流出は避けられた。

 毎年のように人的補償による若手流出が続く巨人では、球団内もファンも、この話題にはナーバスだ。ある球団フロントは「獲れば、獲られる可能性があるのがFA補強。覚悟はしています」と話すが、若返り方針を鮮明にしている今オフは、プロテクト名簿にもそのスタンスが反映されることになりそうだ。

「ウチの場合、戦力としては計算できなくても、いわゆる“功労者”のベテランについては基本的にリストに含めるのがこれまでの方針。結果的に流出しなくても、リストから外れていることが判明するだけで、内外に波紋を呼ぶからです。でも今年に限ってはメンツを気にしていると、本当に守りたい若手をカバーできない。かなりシビアな選定になるでしょう」(前出のフロント)

 功労者といえば、思い浮かぶのは今オフの契約更改で大減俸をのんだ内海や山口鉄、故障を抱える杉内らだ。西武には2006年に豊田(現巨人一軍投手コーチ)の補償として、江藤(現巨人三軍監督)が流出した過去もある。また近年の事例からすれば、リスト作成には親会社の読売首脳の声も強く反映されるだろう。

 すでに西武・辻監督は投手の獲得を要望しているとも伝えられているが…。ある意味ではFA選手との交渉以上に難しいのが、その後の人的補償をめぐる攻防。両軍の思惑がぶつかり合う情報戦が幕を開ける。