西武からフリーエージェント(FA)宣言していた野上亮磨投手(30)の巨人入りが26日までに濃厚となった。水面下では交渉が行われていたもようで、近日中にも発表される見通し。野上はすでに親しい関係者などにあいさつを済ませているという。今季11勝をマークしたローテーション投手の獲得に成功した巨人が、今オフの補強戦線「まず1勝」だ。

 野上はプロ9年目の今季、先発として24試合に登板し11勝10敗、防御率3.63をマーク。巨人・鹿取GMからは「1年間ローテーションを守れるということは内容も伴っているということ。勝敗に表れないところも高く評価している」と先発としての能力を買われていた。

 野上はすでに親しかった西武関係者などに退団のあいさつを済ませており、近日中に西武球団への正式なあいさつを経て、巨人入団発表という流れになりそう。西武のFA退団者はこれで15年の脇谷(現巨人)、16年の岸(現楽天)に続き3年連続、16人目となった。

 25日に鹿取GMが「野上獲り参戦」を明言したばかりで、電光石火のスピード決着にも見えるが、水面下では交渉が行われていたもよう。とはいえ結果的には、宣言残留を認める西武やDeNAなど複数球団との争奪戦を、後方一気の“猛チャージ”で差し切った格好となった。

 来季のV奪回を目指す巨人にとって、先発投手の補強は急務。現状では内海の力の衰えや、出場停止明けの山口俊にも不安が残り、さらにはマイコラスの残留も不透明とあって、先発投手はノドから手が出るほど欲しいチーム状況だった。

 鹿取GMは「(ローテーションの)2、3番手に食い込んでいける力がある」とも話しており、来季は菅野、野上、田口で3本柱を形成できると見込んでいる。マイコラスが残留してくれれば、今季大きく飛躍した畠や、即戦力右腕との期待が大きいドラフト1位ルーキーの鍬原(中大)らとともに、さらなる投手王国を築くことも可能だろう。

 一方、巨人は日本ハムからFA宣言した増井浩俊投手(33)の獲得も目指している。やはり今オフも「FAの巨人」の動向から目が離せない。