どんな結末が待っているのか――。巨人から自由契約となった村田修一内野手(36)が24日、静岡・熱海市内で開かれた球団納会に参加し、6年間をともに過ごした仲間たちと“最後の酒”を酌み交わした。「現役にこだわりたい」と話しているが、いまだ獲得を名乗り出る球団は現れていない。別れを切り出した巨人側としても、ここまでの停滞は想定外の状況。宙に浮いてしまった男の立場に周囲も焦燥を募らせている。

 今年の納会は村田の独壇場だった。夜の宴会に先立って神奈川県内で行われた納会ゴルフは、同じく戦力外通告から現役続行を目指す実松、故障からの復活を期す杉内、入野一軍サブマネジャーという同じ“松坂世代”の3人と同組。気心の知れたメンバーでの笑いの絶えないラウンドとなった。ここぞの場面で輝くところが、男・村田たるゆえん。最終ホールをバーディーで締め、村田ヘッド兼バッテリーコーチを抑えて見事、優勝を飾った。

 夜は熱海市内のホテルに移動し、納会に参加。豪快に酒をあおり、仲間との別れを惜しんだ。会の最後は退団選手を代表してあいさつ。毅然とした姿には職員らも涙し、由伸監督を「改めてしっかりとした選手だと思った」と感心させた。

 例年は1次会後に席を立つ選手も目立つが、この日は多くが宿泊した。「最後はみんなとゆっくり飲みたい」と話していた村田の周りに仲間が群がり、にぎやかなうたげは朝まで続いた。だが、その一方で球団内では村田抜きのチーム作りが粛々と進んでいる。

 代名詞だった背番号25は、来季から岡本が受け継ぐ。この日後輩から背番号変更の報告を受けた村田は「一緒に野球もして、いろいろ話した選手がつけてくれるのはありがたい。『25番だったから頑張れた』と言ってくれるのを期待しています」と話したが、顔には一抹の寂しさも浮かべた。

 新天地もまだ決まらない。現状について「進展はありません。電話も鳴っていないですから」と明かし「次が決まらないと、心も体も動いてこない」と心境を吐露。「条件うんぬんより欲しいと言ってくれるところがあれば。まだ野球がしたいですし、現役にこだわっていきたい」と神妙な表情で話した。

 この日は先輩、後輩問わず村田の境遇を心配する声が聞かれたが、球団としても、ここまで移籍先探しに苦労するとは考えていなかった。自由契約を言い渡した鹿取GMも「あれだけの実績がある選手。話はあると思っていたんだけれどね…」と本紙に素直な感想を漏らした。

 水面下では複数球団がいまだ調査を続けているが、色良いオファーがあるかは微妙。同GMは、巨人が再契約する可能性について「さあ、どうでしょうか」と明言を避けた。普段なら盛り上がる補強の話題も、Gナインの間ではそっちのけ。巨人の視線は今、背番号25を脱いだ男に全て注がれている。