今季3勝止まりに終わった阪神・藤浪晋太郎投手(23)が背水の5年目オフに突入した。制球難など課題は多い“悩める右腕”には金本監督ら首脳陣の期待は大きいが、阪神OBで本紙評論家の遠山奨志氏は「投げ続けろ!」「映像を見まくれ!」「教えを乞え!」と完全復活を果たすための必須3か条を提言した。

【遠山奨志 ブラッシュ一本締め】オフといっても結果が出ていない藤浪に休む暇はない。確かに一年の疲れを癒やすため肩、ヒジのケアには細心の注意を払うべきだが、このオフはとことん自分を追い込むことが優先のはず。休まずに毎日投球するべきだ。キャンプ中に肩を痛めたということで無理をすることはできないが、キャッチボールは可能。毎日投げ続けることで体に感覚を染み込ませることが必要だ。

 また、自分の投球の映像を嫌になるくらい見ることも必須。良いときの投球と悪いときの投球を見直し、原因を突き止め自分なりの“投球理論”を築くべきだ。投手にとって失点シーンを振り返るのは苦痛を伴うが、ここを通らないと本当の意味での復活はない。それだけ藤浪が今年露呈した制球難を克服するのは難しいということだ。こればかりは日にち薬というわけにはいかない。恥を忍んでメッセンジャーに頭を下げ教えを乞うことも復活のヒントになるかもしれない。

 同級生の日本ハム・大谷は夢をかなえメジャーへ挑戦する。一方の藤浪は「アジアCS2017」を制した侍ジャパン、そしてこの日のNPBアワーズに名前すら挙がらないというのが現状だ。本人もじくじたる思いのはずだが、この悔しさをどれだけぶつけられるか。今までは“藤浪特権”があったかもしれないが、今後はまさに自力で這い上がるしかない。若いといっても来年で6年目。来季もダメならこのまま終わってしまう危険性だってある。完全復活できるかはこのオフ、どれだけがむしゃらになって取り組めるかにかかってくるはずだ。(本紙評論家)