来季のV奪還を目指す阪神が19日、高知・安芸での秋季キャンプを打ち上げた。12か所打撃など過酷なメニューをナインに課した金本知憲監督(49)は「選手の体力がついたことが実感できた。去年よりメニューは厳しくなったが、前向きに取り組んでくれた。来年楽しみな選手が出てきたよ」と底上げへの手応えを口にし、MVPに投手から小野と才木、野手からは陽川と中谷を挙げた。

 ようやく地獄キャンプ終了だが、ナインに息をつく暇はない。11月中は甲子園球場で指名選手による“特訓”も継続。さらに「来年競争は激しくなる。オフはライバルに勝つためのビッグチャンス。何もしないのか、ちょっとやるのか、ゴリゴリやるのかで春のスタート地点が違う」と金本監督自らハッパを掛けるなどレギュラー未満の若手はこのオフも自覚を試される日々となる。

 手綱を緩めないのは苦い経験があるからだ。「去年の秋も手応えはあったはずだったが、そのとき監督が期待した北條や高山が今シーズンまったくダメだった。だから、今年はまったく満足していない。今後はさらに厳しい目で見ていくつもりなのだろう」(球団幹部)。昨秋成長したはずの金本チルドレンがシーズンではことごとく不発に終わったため、同じ轍は踏むまいとオフも“放し飼い”にはしないという。

 若手の練習量確保のため、球団側もテレビ出演やイベント出演など最小限に抑えるなどして指揮官の考えをバックアップ。昨年の4位から2位に躍進を遂げた猛虎だが、バラ色のオフとはいかないようだ。