巨人はストーブリーグでも苦戦を強いられるのか。球団は15日、日本ハムからFA宣言した増井浩俊投手(33)の本格調査を開始した。ただ当初は移籍一本とみられていた右腕の心境に変化があり、ここにきて宣言残留の可能性も浮上。同じく調査を続けてきた西武・牧田はポスティングでのメジャー挑戦が確実となるなど、補強戦線の雲行きが怪しくなってきている。

 今オフの最重要補強ポイントの一つが、勝ちパターンを任せられるリリーフ投手。増井のFA宣言を受け、早くから動向を注視してきた巨人は、獲得に向けた本格調査に乗り出している。

 だが3選手を獲得した昨オフより、今年のFA情勢は混沌。増井も当初は「残留するなら(FA権の)行使はしたくない」と話していたが、ここ数日で発言が変化。14日の会見では「残留も視野に入れて、他球団の話を聞きたい」と話した。

 巨人は「宣言なら移籍一本」とにらみ、増井の調査を続けてきたが、残留の目が浮上したのは想定外だ。増井に近い関係者によると「日本ハムが珍しく引き留めに熱心で、かなりの好条件を提示したみたい。今は残留にかなり気持ちが傾いているようです」という。

 FA補強に関しては、“勝ち戦”にしか加わらないのが巨人。増井は契約年数を重要視し「他球団の話を聞いてみたい」と話しているが、巨人が交渉に乗り出したとしても水面下で行われることが濃厚だ。球団内では長期契約での獲得には慎重論も根強く、参戦の見送りも検討され始めている。

 そもそも今オフのFA戦線で巨人が最も注視していたのは、西武・牧田の動向だった。球団とのポスティング交渉が決裂すれば国内FA権を行使すると踏んで調査を続けてきたが、結局締め切り日まで動きはなかった。FAでリリーフを補強できないとなると、今後は編成構想を見直す必要性も出てくる。リリーフ陣に信頼できる日本人投手が加われば、思い切って外国人野手2人態勢を敷ける。その場合は「マシソン放出もやむなし」というのが球団の方針だった。津崎国際部長はマシソン、マイコラスとの残留交渉について、14日に「(進展は)ない。まだもう少しかかる」との見通しを明かしたが…。意地でも増井獲りに動くのか、それとも条件を引き上げてマシソン引き留めに全力を注ぐのか。来季の命運を左右するブルペン整備を巡り、球団の決断が注目される。