巨人は覇権奪回への戦力を整備できるのか――。宮崎での秋季キャンプを視察した老川祥一オーナー(76)が12日、今オフの補強状況について初言及。5年連続のFA補強参戦を示唆する一方で外国人交渉などが難航していることも明かした。高橋由伸監督(42)は現有戦力の底上げに必死だが、仮に補強が不調に終わり若手の成長頼みとなると、来季も厳しい戦いを迫られそうだ。

 猛練習で連日若手ナインの悲鳴がとどろく巨人の秋季キャンプ。2日間の視察を終えた老川オーナーは「みんな元気に声を出してやってくれている。大変心強く思った」と満足顔で振り返り「ここに参加している選手たちの一人でも多くが、一軍レギュラーとして活躍してくれることを期待している」と話した。

 ただ、若手の台頭だけで勝ち抜けるほどペナントレースは甘くない。老川オーナーは球団が進める補強状況に言及。「若手の育成はもちろんだけど、それだけで優勝に一直線にいけるわけでもないだろうし、少しでも新しい戦力を補強できるものはしたい。FAになっている人自身もまだ(権利行使を)決める段階には至っていないんでしょうから、こちらが希望する人はなるべく来てもらえることを願っている」と3選手を獲得した昨年に続き、FA補強に動く可能性を示した。

 一方で外国人の獲得や残留交渉は思うように進んでいないようで、同オーナーは「具体的な、こういうふうに固まったというところまで聞いていないし、なかなか難航している。(オファーへの)返事がないとか、いろんな状況がある」と表情を曇らせる。メジャー復帰がささやかれるマイコラスとマシソンについても「どっちも(去就は)確定していません」と話した。

 由伸監督は球団側に補強に関する現場の声を伝えているが、過渡期のチームを支えるには少なくとも今季と同等の外国人戦力が必要。若返りを進めるならなおさらだ。ただ「今年は上層部の方針で補強予算を絞っている。無尽蔵に使える状況ではない」(球団フロント)という。外部補強や残留交渉が不調に終われば戦力的には今季以上に厳しくなる。

 指揮官はこの日、来季の先発枠候補に挙がる2年目左腕・中川のブルペン投球に目を細め、期待をかける岡本を相手に自ら特打の打撃投手を務め、日が傾く中で100球を投げ込んだ。

「若い選手で一人二人、投手野手問わず出てきてほしい」と原石発掘に熱を入れる指揮官を、補強面でどこまでサポートできるのか。現場だけではなく、球団側の熱意も試されている。