日本ハムは10日、大谷翔平投手(23)のメジャー移籍容認を正式に表明、大谷本人も11日に会見を行い、今オフのメジャー挑戦の意思を正式に表明した。日米間で協議中で大筋合意しているポスティング制度が正式に決定すれば、12月10日から行われるウインターミーティング前後にも大谷は移籍市場に出る。待ち受けるメジャー側は、有利が伝えられるナ・リーグに比べ、劣勢気味のア・リーグの一部球団が“逆転のプレゼン”を狙っているという。

 10日、球団は都内ホテルで大谷本人からメジャー移籍の要望を正式に受諾。竹田球団社長は「本人と会談し、来季よりMLBに活躍の場を移したいと言われました。夢の実現に一歩踏み出すために背中を押してあげるのが球団の方針です」と切り出した。

 栗山監督は「世界一の選手になると信じているが、まだまだボクが思っている大谷翔平の天井はこんなところじゃない。これからはもっと厳しく文句を言うと本人にも言った。メジャー挑戦はそんなに簡単な道じゃない。楽しみもそうですけど、心配の方が大きい」と送り出す心境を語った。

 いよいよ動きだした大谷の「世界一の選手になりたい」という夢。ポスティング交渉に向けては、メジャー各球団がライバル球団を出し抜く“必殺のプレゼン”を用意し、最大30球団が獲得に乗り出す大争奪戦に備えている。

 年俸に上限があり、金銭闘争とはならない大谷の契約に関しては、代理人を務めるバレロ氏側はまず、交渉希望球団それぞれの「二刀流起用プラン」を聞き、そのプランが実際に実現可能なのかを判断し、球団を“ふるい”にかけるようだ。

 具体的には…。例えば投手登録となる大谷に「打者として最低200打席保証する」というプランを出してきたチームがあったとすると、それが本当に可能かどうか、チームのロースターを見て判断するという。

 二刀流に関しては、とかく投手が打席に立てるナ・リーグの優位性が伝えられ「外野手としてスタメン出場した上でのクローザー起用」など、大谷が日本ハムで未経験の仰天プランが浮上しており、メジャー側の想像力は栗山監督をも超えている。
 そんな中でDH制があり、劣勢を伝えられるア・リーグ球団の中にはこんな逆転の秘策が温められている。

 それが大谷を「DH登録した上で先発6番手起用する」というプランだ。これを温めているア・リーグ球団関係者は「彼(大谷)の才能と可能性に疑いの余地はないが、この5年間で一度も先発ローテーションを守った経験もない。シックスメンローテーション(先発6人で日本式の中6日登板)を守れなかった彼が、ファイブメンローテーション(先発5投手で米国式の中4日登板)に対応するには時間がかかる。ならば日本ハムでのベース起用と同じように、最初は登板間隔を8~10日空けてその間の5~8試合をDHで出場。なおかつ6番目の先発投手として登板すれば、無理なく日本ハム時代と同じ調整ができるのではないか」と意図を語る。

 大谷にとってベストは自分の希望と球団の提案が合致し、共に成長していける環境を見つけ出すこと。合理主義の米国でいかに“日本ハム的環境”を手に入れるかが、決断のポイントになるのかもしれない。