日本ハムが大谷翔平投手(23)のメジャー移籍を容認したことでポスティング制度に注目が集まっているが、10月末で失効した同制度について、AP通信などが譲渡金の上限を2000万ドル(約22億6000万円)とする現行の制度を1年延長することで日米間が基本合意したと報じた。しかし、これに“世界最強の労働組合”MLB選手会が反対の意向を示しているとされ今後も難航が予想されている。

 この“見切り発車的容認”に対し、日本ハム・吉村GMは「大谷選手のためにも(新制度が)早く決まってほしいというのが一番。ファイターズとしては本人のためにという判断」と強調。在籍わずか5年での放出については「世界的な視野での適切な配慮。世界一を目指し、より才能が伸びている時期に行くべきじゃないかなと。その観点ではベストかな」と続けた。

 日本国内ではどこか楽観的にとらえられているMLB選手会の反発の動き。しかし、選手会事情に詳しいメジャー関係者は「日本ハム球団は世界的視野に立って大谷のポスティングを認めたのかもしれないが、この問題に関しては球団よりも大谷本人が国際的視野を持たなければいけない。個人的に金銭的条件に興味がないのかもしれないが、選手会は今後、同制度を使って大谷の後に続く日本、韓国、台湾、キューバ選手のために戦っている。自分の発言、要望が後に続く人間にどんな影響を与えるかまで想定するべき」と警告した。

 さらには「米国は訴訟王国。日本ハム球団、大谷が思ってもいない長期戦になる可能性もある」と、決して楽観できない見通しを語った。

 しかし、一方で「MLBでこれだけ騒がれている注目選手が、新制度が合意せず移籍できなければ、バッシングされ矢面に立たされるのはマンフレッド・コミッショナー。コミッショナーはその威信にかけても新制度を合意させるだろう」という声もあり、その成り行きが注目されている。