第48回明治神宮野球大会は10日、神宮球場で高校の部1回戦が行われ、日大三(東京)が延長10回タイブレークの末、6—7で日本航空石川(石川)にサヨナラ負け。同点で迎えた9回一打サヨナラの場面では、日大三の捕手と日本航空石川の走者が本塁で交錯。救急車が出動するなど、後味の悪い幕切れとなった。

 6—6の同点で迎えた9回、日本航空石川の攻撃。二死一、二塁と一打サヨナラの場面で7番山岡の放った右前打に二塁走者の上田が激走する。三塁を回り一度は速度を緩めたものの、三塁コーチャーの指示を見て再び加速。野手からの送球を受け本塁付近で待ち構えていた日大三の斎藤捕手と激しく交錯し、胸部を強く打った斎藤は担架で運ばれた。

 最初、江藤球審がセーフと判定したため「アウトだ! アウト!」「格闘技じゃねえぞ! 高校野球は」「ふざけんじゃねえ!」とヤジが飛び交い、スタンドは一時騒然。その後「二塁走者の危険な走塁として守備妨害」と宣告され、試合は延長タイブレークとなった。延長10回、日大三の守備では負傷した斎藤に代わりマスクをかぶった佐藤英の後逸でサヨナラ。最後まで後味の悪さが残った。

 敗れた日大三・小倉監督は本塁交錯のプレーについて「あれは絶対にやっちゃいけないプレー。斎藤は今、救急車(で搬送している)。ケガをするどころか、下手したら死んじゃう。絶対に許せんですよ」と激しく非難。日本航空石川の中村監督は「審判さんのジャッジがすべて。一人の選手を傷つけてしまったことについては、しっかりと反省して、おわびしないといけない」と言葉少なに語った。