阪神・大和内野手(30)が8日、国内FA権行使を表明した。西宮市内の球団事務所を訪れて申請書類を提出。球団を通じて「他球団の自分に対する評価を聞くチャンスは今しかないという思いも強く、今回の決断に至りました。移籍を前提とした権利の行使ではなくタイガースも含めて、自分を一番必要としてくれる球団で来季プレーしたいと思います」とコメントした。

 今季の大和は主に遊撃手として100試合に出場し、堅守でチームの2位に貢献。内外野両方をこなし、12球団随一といわれる守備力を誇る。そんな“虎の名手”のFA流出危機にチーム内は激震だ。なかでも頭を痛めているのは防御率3・29でリーグトップを誇った鉄壁の虎投手陣。大和の守備のおかげでピンチを乗り切ってきただけに無理はない。今季67試合に登板し、防御率1・51で最優秀中継ぎのタイトルも手にした桑原が「抜けたと思った打球を取ってもらって何度も助けてもらった。ポジショニングも的確で経験もある。ピンチのときはマウンドに来て『こういうケースがあります』と確認してくれて頼もしい。来年もいてくれれば心強い」と話したように、その誰もが大和の残留を熱望している。

 現役時代にその守備力に“お世話”になった福原二軍投手コーチも「安心感がある。あいつが後ろにいたら何とかしてくれる、というのがある。いるいないでピッチャー陣の心境も全然違うんですよ」と言い、安藤育成コーチも「外野でもスーパープレーで抜けそうな打球に飛び付いて捕ってくれた。チームにとって大きな存在」。それこそ大和の残留か否かが来季の虎投手陣の浮沈にもかかわるとみているのだ。

 この日、金本監督は大和について「残ってやってほしい。フロントに頑張ってもらうしかない」と話し、四藤球団社長も「絶対に必要な戦力、選手なのでぜひとも残ってほしいという球団の気持ちを伝えました」と複数年契約を提示し全力で慰留する方針を示した。DeNA、オリックスなどとの争奪戦となりそうだが、投手陣らの“残留希望”は届くか。