来季のV奪回に燃える阪神は30日、甲子園球場などで行われた約1週間の秋季練習を打ち上げ、11月2日から高知・安芸市で始まる秋季キャンプのメンバーを発表した。今季3勝止まりの藤浪、昨年の左アキレス腱断裂から完全復活できなかった西岡、不振で二軍落ちも味わった昨年の新人王・高山の“大誤算トリオ”ら31選手が参加するが、なかでも「最重要強化指定選手」になっているのが今季103試合に出場、打率2割5分、6本塁打、24打点の成績に終わった高山だ。

 昨オフは球団新人最多安打記録を更新するなどで金本監督ら首脳陣に大目に見られていたが、2年目のジンクスに泣いた今オフは別。片岡ヘッド兼打撃コーチは「キャンプでは守備、打撃とどちらかに重点を置いて強化する選手はいるが、高山の場合は攻守どちらも10対10のMAXでやってもらう。とにかく練習しかない」と今季、拙守が目立ったこともあり、両部門での猛練習を徹底させる考え。「阪神での重圧とかひっくるめた結果がそれ。天才肌でやってきて初めて思うようにいかなかったシーズン。たとえメンタルで大なり小なり(問題が)あったとしてもそれを乗り越えてこそレギュラーだ。まだまだ2年目。やるしかない」とプライドを捨てた奮起を促した。

 高山の不振には金本監督も「(課題は)タイミングとバットの軌道が遠回りすること。どこでどう狂ったのか分からん」と頭を抱えているのが実情。チーム内からは「退任した掛布二軍監督の思い出は新人時代の高山の打撃を見て『イチローやヨシノブ(巨人・高橋監督)以上だ』と感激したこと。それほどの人材で期待されているということを自覚しないと」との声が出ている。この男が成長しない限り、阪神は強くはならない。