来季から巨人の打撃総合コーチを務める吉村禎章氏(54)が25日、秋季練習中のジャイアンツ球場へ就任あいさつに訪れた。7年ぶりの現場復帰、1992年の中西太氏以来となるポストに就く吉村氏には、打撃部門全体の強化だけでなく、打撃コーチ3人体制が復活するなかで別の役割も求められている。

 練習前の円陣に加わったスーツ姿の吉村氏は、チームへのあいさつを済ませると、由伸監督や村田ヘッド兼バッテリーコーチと笑顔で言葉を交わしつつナインの動きに視線を送った。

 今季は得点力不足や若手の伸び悩みを解消できず、11年ぶりにBクラスへ転落。吉村氏は巨人で一軍打撃コーチや二軍監督の指導経験もあり、退団後も解説者などの立場から古巣を見守ってきた。球団からの打診に「『打つ方は頼む』ということ。チームとして打つ方の必要性を感じていることは伝わった」と語り「(若手が)チャンスを取り切れているかというと、そこまでいっていないのが現状。監督が使いたいと思える選手にしていきたい」と意気込んだ。由伸監督も「違った角度から見ている時間もあったと思うし、他のチームもたくさん見ていたと思う。いろいろなアイデアを出して、打線の強化に力を貸してくれればいいなと思っています」と信頼を寄せた。

 吉村氏は二軍監督時代の2007年には新人の坂本を積極的に起用し、翌年以降のレギュラー定着への礎を築いた。それだけに“第2、第3の坂本”育成への期待が高まる。

 ただ、吉村氏の手腕に託されるのはそれだけではない。来季の打撃部門は吉村氏を筆頭に二岡打撃コーチ、二軍から小関打撃コーチが昇格し、14年以来の3人体制が復活。チームスタッフは「首脳陣は打撃に関する練習などは吉村さんを中心に二岡コーチと決めていく予定です。ですが、最悪のケースは3人のコーチが選手に三者三様の助言を送ること。コーチによって言うことが違えば、混乱するのは選手。そこの部分を現場のトップは最も危惧していて、村田ヘッドから統一した指導方針の下でコーチングしてほしいという旨を伝えた」と明かした。打線の底上げと方針の徹底統制。吉村氏の本格指導は11月の宮崎秋季キャンプからスタートする。