イチローが人前で黙とうしない訳

2013年01月19日 11時00分

 阪神大震災から18年が経過した17日、オリックスの新入団選手ら約30人がほっともっとフィールド神戸で正午から黙とうし、犠牲者の冥福を祈った。そんな中で別の動きを見せたのがヤンキース・イチロー外野手(39)。同時刻に自主トレを行っていたが、黙とうに参加せず、室内で黙々と打撃練習を続けた。

 震災時の1995年、オリックスに在籍したイチローは当時掲げられていたスローガン「がんばろう神戸」の象徴。にもかかわらず、黙とうに参加しなかったのはなぜか。イチローサイドの関係者がこう説明した。「彼はそういった(人前で黙とうするしないの)考えを超えている。彼のような有名選手が(黙とうして)メディアに取り上げられることはいい面もあるが、悪い面もあると思っている。神戸に彼がいて生活しているだけでそういったこと(励まし)になっていると思う」

 マスコミの前で黙とうすることはイチローの流儀に反するのだろう。犠牲者への思いを胸に、イチローはマスコミの前ではあえて野球に打ち込むことを選んだ。「例えば神戸でイチローが野球教室をしたとする。それを東日本大震災に被災して野球選手に会いたくても会えない子供たちがテレビで見て、どう感じるのか。彼はそこまで考えている」(イチロー関係者)

 今オフのイチローは同様の理由でテレビ出演のほとんどを断っている。有名アスリートとの対談やバラエティー番組のオファーも多く届いたが、必要性を感じない。イチロー関係者は「芸能人との“野球対決”とか、今はそういうことが簡単に実現しすぎる。わずかな時間のテレビなどでは彼の考え方は伝わらない。原点回帰? そうです。野球選手は野球をやることが一番でしょう」と代弁した。