阪神が17日、DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦(甲子園)に1―6で敗れ、シーズン終了となった。その敗因は何か。さらには来季に向けてやるべきことは何か。本紙評論家の伊勢孝夫氏の見解は…。

 初戦を快勝で制しながらも屈辱の連敗劇で終戦…。“下克上日本一”の夢は無残にも散り、2年目のシーズンを終えた金本監督は「選手は悔しさを持ってくれていると思うし、来年につなげないといけない。みんなの野球に対する執念や粘りで2位になれた。今日で最後になったが、褒めてやりたい」と総括。試合後の全体ミーティングでは「シーズン前の評価は高くなかったけど皆の頑張りで2位になれた。ありがとう! 明日から戦いは始まっている。来年に向けて頑張っていきましょう!」とナインに感謝し、早速の猛ゲキを飛ばした。

 節目となる3年目の来季こそは13年ぶりのV奪還が至上命令。四藤球団社長も「キャンプから課題を明らかにして次へ向けてやっていこう。来年こそ勝って優勝しよう」とチームにハッパを掛けたというが、そこで注目なのが来季のFA補強だ。大砲候補として日本ハム・中田翔内野手(28)の獲得に動くかどうかが焦点となっているが、本紙評論家の伊勢孝夫氏は「中田不要論」を主張した。「福留も来年はどこまでできるか分からないだけに4番を打てる中田が欲しいのは確か。しかし、将来性を買っているなら我慢してでも大山を4番に据えるべき。高い買い物になる中田は不要。それよりも補強すべきところがある」

 さらには中田以上に必要な人物としてFA権を持つ西武・炭谷銀仁朗捕手(30)の名前を挙げた。「今回のCSでも明らかだったが梅野、坂本はまだまだ実力不足。今日も試合を決められた4回のロペスの一発は完全に坂本の配球ミス。あそこでストレートはない。DeNAの戸柱、嶺井の捕手コンビとのリードの差が勝敗を分けた。このオフも2人は徹底的に配球の勉強をする必要があるが、一朝一夕にいくものではない。その点、炭谷は格好の人材。関西出身で修羅場をくぐってきた経験もあり、チームを勝たせられる。何より2人の良い見本になる。3年目で優勝をしたいならば炭谷獲得に動くべき。炭谷は伊東勤(前ロッテ監督)から受け継がれている緻密な頭脳の持ち主。それは阪神の投手にとっていい効果があるのは間違いない。今季苦しんだ藤浪復活のヒントを得られるかもしれない」

 今季2位に躍進したものの、苦手の短期決戦ではやはりもろさを露呈した阪神。金本監督については「来季は厳しい一辺倒ではなく、今の選手には対話路線も必要。スパルタだけではついてこない」と話した伊勢氏。いずれにせよ、相当の覚悟で虎は来季を迎えないといけない。