黒田のおかげでリードの幅広がった会沢

2017年10月08日 11時00分

捕手として一皮むけた会沢の貢献度も大きい

 【始まりの鐘が鳴る ~カープ日本一への道~ 広瀬純】今年のチーム内で誰が一番連覇を喜んでいるのか。僕なりに想像してみると、頭に浮かぶのは会沢翼捕手(29)です。

 長く正捕手・石原の陰に隠れた存在も、今季は106試合に出場。若手投手の良さを存分に引き出すなどしてチーム連覇に貢献したからです。

 今季がプロ11年目。本来ならもっと早く石原を脅かす存在にならなければならなかったはず。なぜできなかったか。理由は「リードの真面目さ」が原因でした。

 会沢は高卒でプロ入りしたため、若いころから徹底的に捕手としての基礎をたたき込まれました。おかげで、ミスが少ない万能な選手に成長した半面、リードは“教科書どおり”。「困った時は外角変化球」「追い込んだら遊び球を入れる」など、単調な配球が多く、相手打者に読まれる傾向があったのです。

 ミットの構え方にも工夫がないようにも見えました。数年前までは、どんな投手と組んでも、ストライクゾーンのほぼ四隅にミットを構えるような感じでした。制球力のある投手は「会沢スタイル」を好みます。狙う位置がわかりやすく、ミット目がけて投げさえすればいいからです。ところが、制球力がない投手や若手投手の場合は厄介です。正確に四隅に球を投げようとするあまり、球を置きにいったりボールになる危険性が高まる。このため、会沢には特定の投手しかマスクを任せられなかったのです。

 今季の会沢は変貌を遂げました。昨季リーグ優勝の力になれなかった経験から「このままではダメ」と痛感したのでしょう。春季キャンプから石原のリードを参考に、投手陣に対しての気配り、目配りを徹底。制球力のない投手とバッテリーを組む際には「コースは気にするな」とばかりに、あえてストライクゾーンの甘めにミットを置く気配りも見せています。同時に、昨季までチームに在籍した黒田さん(博樹氏=現野球解説者)の影響もあり、外角中心だった配球も一変。今ではツーシームやシュート系のボールを操る投手らとも息を合わせながら幅広い配球を心がけています。内角も厳しく突けるようになりました。若手投手に聞くと「以前に比べ、リードが格段に良くなった。投げやすい」と話していましたから。彼の成長は投手陣にもいい刺激になったはず。

 昨季は「2番手捕手」での優勝のため、心底から歓喜の輪に加われなかった。今季は胸を張って勝利の美酒に酔いしれたはずなので…CSでも彼のリードに期待です。