10・26清宮ドラフトに向けたプロ野球各球団の神経戦が、いよいよ本格的にスタートした。早実の“怪物スラッガー”清宮幸太郎内野手(3年)は2日午前、東京都内の母校でトップバッターのオリックスなど10球団との面談に臨んだ。父でラグビートップリーグ、ヤマハ発動機監督の克幸氏(50)も同席するなか、30分間隔で各球団に対応する形となったが、それぞれの腹の内は“清宮LOVE”一色というわけでもなさそうだ。

 前日1日に学校の主要行事である文化祭を終えた清宮はドラフト会議に向けて父・克幸氏とともにプロ球団とのファーストコンタクトに臨んだ。場合によってはプロ球団の“仕分け作業の場”ともなるが、プロ側にとっては清宮サイドの真意や手応えを知る機会であると同時に、この「清宮面談」がドラフト本番への他球団との駆け引き開始の場となってくる。ある球団幹部は匿名を条件にこう言う。

「普通、この時期に1位指名を決めている球団はないと思う。本当に清宮を有力候補に考えている球団は当然(面談に)行くけれども、それ以外の候補を優先的に考えている球団にとっても行かないことがメディアを通して他球団に知れたら(本番で清宮を指名しないという)ドラフト戦略上の情報を相手に渡してしまうことになる。行って話を聞いた上で最終決断をすればいいこと。行かない決断のほうが勇気のいること」

 仮に清宮を狙っていないとしても、超目玉のいる今ドラフトでは清宮を隠れみのに、その他の目玉候補である広陵・中村奨成捕手、履正社・安田尚憲内野手、社会人ナンバーワン左腕の呼び声高いJR東日本・田嶋大樹投手(21)らの競争率をどう減らすか、またはまんまと一本釣りを成功させるかという駆け引きの道具に利用できる。今回の面談は、ドラフト戦略上“しなければならない”必須行動というわけだ。

 1989年野茂英雄、90年小池秀郎の8球団を超える史上最多の1位指名競合も予想されたが、フタを開けたら清宮6球団、田嶋3球団、中村2球団、安田単独指名といった現実的な展開も十分にありそうだ。