【カナダ・サンダーベイ8日(日本時間9日)発】「第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場している高校日本代表はスーパーラウンド(R)2戦目で地元カナダに4―6で敗れ、悲願の世界一が厳しくなった。1度は逆転したものの、守備で自滅した。4番・一塁で先発出場した早実・清宮幸太郎内野手(3年)が5回にバックスクリーンを直撃する高校通算111号を放ったが、悪い流れを変えることはできなかった。

 悪夢の7回だった。先頭キイスの遊ゴロを報徳学園・小園海斗内野手(2年)がお手玉。次打者の一ゴロで走者は二塁へ進む。ここで4番ブルックマンが左翼へ適時打。左翼の日大三・桜井周斗(3年)が本塁へストライク送球したが、タッチをかいくぐられて4―4の同点に追いつかれた。

 さらに二死一、三塁から4番手の花咲徳栄・清水達也(3年)の暴投で勝ち越しを許し、7番チェルニーに左前へ適時打され、4―6とリードを広げられた。

 日本に絶好のチャンスが訪れたのは8回。二死一、三塁で打席は清宮。一発が出れば逆転だ。しかし、真ん中の甘いボールを引っ掛けて二ゴロに倒れた。

 清宮の特大弾で流れが変わったと思われた。1―3の5回、二死無走者の第3打席。カナダの先発アブラムの投じた2球目を捉えると、高い放物線を描いた打球は逆風をものともせず、バックスクリーンを直撃した。地元カナダのファンで埋め尽くされたスタンドが静まり返るなか、三塁を回った清宮はガッツポーズで喜びを爆発させた。日本ベンチも主砲の一発に大盛り上がりだ。その後、連打と四球で二死満塁と攻め立てたが、2番手ハッサールの前に前橋育英・丸山和郁外野手(3年)が右飛に倒れ、引っくり返すことはできなかった。

 そして6回、先頭の仙台育英・西巻賢二内野手(3年)が四球で出塁。1番の大阪桐蔭・藤原恭大外野手(2年)の投前犠打を一塁へ悪送球して一、三塁。2番・小園の二ゴロを二塁手が悪送球して同点として無死一、三塁。3番の履正社・安田尚憲内野手(3年)の二ゴロ併殺打の間に勝ち越した。

 大会前から清宮はファン、マスコミだけではなくチームメートの注目を一身に集めてきた。国内合宿ではチームの結束を図るため代表メンバー全員で大浴場に入浴。そこでナインはその肉体美に酔いしれたという。現在チーム打率1位の小園は「正直最初はデブやろと思ってたんですが、肉の下に筋肉が詰まっていて驚きました。安田さんとかもデカいけど、僕は清宮さんが一番ヤバイと思った。おなかは少し出てるけど、太ももととか胸板とかメチャクチャヤバくて、戦う男の体という感じ。プロレスラー? それもありますけど、やっぱりラガーマンって感じですかね」と怪物のマッスルボディーを熱っぽく語る。

 決勝進出には9日(日本時間10日)の韓国戦の勝利が条件。その後に行われるカナダ―キューバ戦の結果次第だ。悲願の世界一へ追い込まれた日本代表。絶対にあきらめるな。