【カナダ・サンダーベイ7日(日本時間8日)発】「第28回WBSC U―18ベースボールワールドカップ」に出場している高校日本代表はスーパーラウンド(R)初戦でオーストラリアに延長11回タイブレークの末、4―3でサヨナラ勝ちを収めた。履正社・安田尚憲内野手(3年)がサヨナラ打を含む6打数3安打2打点の大暴れ。投げては花咲徳栄・清水達也投手(3年)が4回1安打無失点の好リリーフで劇的な勝利を飾った。早実・清宮幸太郎内野手(3年)は3打数無安打だったが、死闘を制した日本は世界一へ大きく弾みをつけた。

 劇的勝利を呼び込んだ。日本は初回、5番・桜井の中前適時打と敵失で2点を先制。4回には先発の中京大中京・磯村峻平投手(3年)が4連打を浴び追いつかれるも、その裏に3番・安田の右翼線適時二塁打で勝ち越す。6回に再び磯村がつかまり同点とされたが、7回からマウンドに上がった清水が奮投。両者一歩も譲らぬ白熱した試合は9回で決着がつかず延長タイブレークに持ち込まれた。

 10回、清水が一死満塁と絶体絶命のピンチを迎えるも投ゴロ併殺で切り抜けた。11回も3番手の秀岳館・田浦文丸投手(3年)が一死満塁とされたが、2者連続三振斬り。すると11回、一死満塁から安田がこの日3安打目となるサヨナラ打を中前に放ち、激闘に終止符を打った。

 打のヒーロー・安田は「本当に貢献できてよかった。これまで打ててなくて、何とか貢献したいと思っていた。チームメートを信頼して、自分だけじゃないと思って(打席に)立った。後ろに清宮がいるので。最後は緊張でガチガチだった。自然にガッツポーズが出ました」と感情を爆発させた。

 一方、投のヒーローとなった甲子園V右腕の清水は「(タイブレークは)忘れていて普通に延長かなと思っていたら、プレーボールのときに(走者が)一、二塁になっていて。頭に入ってなかったです」とマイペース。春季関東大会1回戦の早実戦以来となるタイブレークについては「あのときは相手が打順を選べたから、清宮にいいように回るように送ってなんかこなかった。(清宮とは)『あのタイブレークは反則だろ』って話をしました。今日はバントでアウトを一つくれたので、楽な気持ちになった」と経験を糧にした。

 スーパーRは1次Rの直接対決の成績が持ち越され、キューバに勝ち、米国に敗れている日本はこれで2勝1敗となった。8日(同9日)に地元・カナダ、9日(同10日)はこの日のキューバ戦に17―7と大勝した韓国と対戦する。一つでも落とせば決勝進出は厳しくなる。

 3打数無安打だった清宮は「こういうゲームをしたかったというか、日本代表として今までで一番楽しかったです」とチームの勝利を喜んだ。「打てなくてもみんなに声をかける。それが主将のあるべき姿。何があってもみんなを奮い立たせて、チームのために徹したい」。準優勝に終わった2年前の前回大会は結果が出ず暗い雰囲気を出したが、主将としての自覚も十分だ。

 スーパーRに入り、ようやく投打の歯車がかみ合った。一丸となった日本が、このまま世界の頂点へ突き進む。