【U―18W杯】清宮 W杯1号の真実…初めて指導者にアドバイス求めた

2017年09月06日 19時00分

【カナダ・サンダーベイ5日(日本時間6日)発=佐藤佑輔、カルロス山崎通信員】ついに出た。「第28回WBSC U―18ベースボールワールドカップ」に出場している高校日本代表の早実・清宮幸太郎内野手(3年)が南アフリカ戦に「4番・DH」で先発出場し、高校通算110号となるソロを放った。主将の2安打1打点の活躍などでチームは12―0の7回コールド勝ちだ。不振に陥っていた清宮だが今大会初アーチで完全復活。復調の裏には指導者の声に耳を傾ける姿勢の変化があった。

 遠く離れたカナダの地で、怪物がまたひとつ新たな足跡を刻んだ。4回二死走者なしで迎えた第3打席、南アの2番手右腕・オブライアンの投じた外角低めの変化球を捉えると、完璧な角度で上がった打球が右翼フェンスを越えた。世界大会初アーチで自身が持つ高校通算本塁打記録を更新。ついに「110」の大台に乗せた。打者一巡の猛攻で一挙6点を奪った3回にも左中間にポトリと落ちるラッキーな二塁打を放ち、5戦目で初のマルチ安打をマークした。

「打った瞬間、いったなと思った。2年前(のU―18)も全然ダメで今回もあまり調子が上がってこなかったけど、やっとわかった。これが自分らしさかな、と。110というのは響きがいい。節目の1本だった。(ベンチに)帰ってきてから、みんなに『やっとやん』とか『遅いよ』と言われた。みんなすごい喜んでくれて、それが一番うれしい」

 第3戦のキューバ戦では前を打つ履正社・安田尚憲(3年)が2度も敬遠される屈辱を味わい、オランダ戦までの4戦で13打数2安打、打率1割5分4厘。苦しみ続けた怪物にようやく笑顔が戻った。

 悲願の世界一をかけた戦いのさなか、こだわりを捨てた。これまでは不調に陥っても自ら指導者にアドバイスを求めることはせず、自力でスランプを脱してきたが、今回は主将として臨む世界大会。なりふり構わず指揮官のもとを訪れた。

 小枝監督は「僕は初めてですよ、これまで指導者をやってきて。部屋に『監督さん、いいですか。お話がしたくて』って選手が来るのは。アドバイスを欲しがるんですよ。良くなっているので、いいところだけしか言わないようにした。(ヘッドコーチの)大藤先生から動画を見せてもらったりしていたので『じゃあ聞けばいいじゃないか』と言ったんです。昨日も大藤先生とやっていましたからね。甘えん坊なんですよ、あいつ」と怪物の“意外”な一面を明かした。

 清宮も「大藤コーチからはトップの位置だったり、柔らかさだったりを言われていて。トップの位置を入れすぎない。逆に肩の開きは入りすぎる感じがあった。『良くなってきた』と言われて、そう言われると自分も自信が出てくるので、いい言葉をもらっています」と話すように、コーチとの二人三脚で不振から脱出した。

「これからもっとシビアな戦いが続いてくる。相手がどうであれ、自分たちの野球、自分の最大限の力を出すことを軸にしっかりやっていきたい」とスーパーラウンドへの意気込みを語った清宮。完全復活した怪物に、もう隙はない。