ダル父が恩師が!藤浪開幕一軍大反対

2013年01月14日 16時00分

大阪桐蔭の西谷監督

 阪神の新人合同自主トレがスタート。注目のドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)は初日から志願のブルペン入りするなど大物感タップリの動きを披露した。一日も早い一軍デビューへの期待も高まるばかり。そんな中、藤浪と非常に縁の深い人物が緊急提言を行った。レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(26)の父・ファルサ氏(52)と高校時代の恩師・西谷浩一監督(43)だ。“金の卵”の将来のために親身かつ貴重なアドバイスを送った。

 

 まずファルサ氏は「僕も大阪(在住)ですし、大阪桐蔭には有の後輩も毎年入ってますからね。もちろん応援してましたよ。阪神という地元のチームに入ってよかったと思いますね」と切り出した。

 

 現在、ダルビッシュも所属していた全羽曳野ボーイズのコーチを務めているファルサ氏。同チームからは大阪桐蔭に進学した選手も多く、出身選手を見守りながら藤浪にも注目していた。ダルビッシュと同じように190センチを超える長身から剛球を繰り出し、高校球界を席巻した藤浪の姿はどうしても愛息と重なる。

 

 2005年に日本ハムに入団したダルビッシュは右膝の故障もあり、春季キャンプは二軍スタート。一軍デビューは6月だった。それでもファルサ氏は“早い”と感じていた、という。

 

「親としては、ゆっくり体づくりをしてからでも…と。米国ならマイナーで3年、4年やってからじゃないですか。日本の場合は(有望な新人は)急に上がりますけど、その中でエースピッチャーとして半分も残ってないのが事実じゃないですか。だから慌てずに…」

 

 ダルビッシュ同様に高校生ナンバーワン右腕として鳴り物入りで入団した藤浪は各方面から大きな期待をかけられている。観客動員、テレビ視聴率…。一日も早いデビューが待ち望まれているのが現状だ。しかし、ファルサ氏はあえてブレーキをかけることを勧める。

 

「正直言って、高校野球で活躍したピッチャーがそのまま(一軍に)上がって活躍できるかどうかは半々ですから。そういう意味では球団やファンがしっかり見守って、育ててほしいという気持ちがあります。まだ18歳ですし、体も細い。どんどん筋肉とか体づくりをやって…。あんまり早く(一軍デビューさせる)とか無理しないようにして、阪神のエースに育ててほしいと思います」

 

 1年目に5勝をマークしたダルビッシュは2年目からは毎年、2桁勝利を記録し、日本ハムのエース、日本球界のエースと成長してベースボールの本場・米国に旅立った。その過程を間近で見つめてきた父の貴重な“経験談”。参考にしない手はないだろう。

 

 一方で、高校の3年間、藤浪を最も近くで指導してきた西谷監督も早期デビューに警鐘を鳴らす。

 

「いきなり一軍というのは厳しいと思います。(即戦力という声もあるが)それはみなさんのリップサービスでは。もちろん藤浪がダメというわけではありません。プロはそんなに甘くない、ということです。大学を出ていきなりでも難しいわけですから、そう簡単にいくものではないです」

 

 西谷監督は藤浪が一軍デビューをするためにはクリアすべき課題が残っていると指摘する。その一つが細身の体だ。「体もまだまだですから。まずは体づくりをしないといけない」。プロのレギュラーシーズンは3月下旬から10月初旬という長丁場とあってスタミナが要求される。これまでも即戦力と期待された数多くの高校生が、こうしたプロの壁に阻まれているのも事実だ。それだけに西谷監督は体づくりを最優先課題に挙げるのだ。

 

 さらに、技術面でも不安が残る。「やはり投球フォームですね。いい時はいいんですが、まだ安定していないんです。それをある程度安定させて投げられるようにならないと…」。フォームが安定しなければ思うようなボールを投げることはできず、プロの打者を抑えることは到底できない。そして、何よりも故障の危険性が高くなってしまう。こうした懸案を解消しなければ一軍で活躍することはできないというのが西谷監督の見解だ。

 

 ただ、裏を返せばすでに実力は折り紙つきの藤浪にも成長する余地が十分にあるということ。いったい、どれだけの大投手になるのか――。恩師は藤浪の底力を信じているからこそ慎重論を唱える。