「第28回WBSC U―18ベースボールワールドカップ」(9月1日~、カナダ)の高校日本代表が20日に発表され、高校通算107本塁打の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(早実=3年)ら20人が選出された。代表選手は甲子園8強に残った3人を除く17人が22日から始まる代表合宿で顔を合わせるが、気になる清宮の起用法はどうなるのか。昨年のアジア大会に続き、日本代表を率いる小枝守監督(66=元拓大紅陵監督)を直撃した。

 ――選考のポイントは

 小枝:一番はバランスを考えた。野手なら大砲、中距離、単発、それに足と守備力のある選手。あと、複数ポジションを守れることも重視しました。20人しかいなく、替えがきかないので複数の場所を守れる要素を持った選手を優先的に選びました。投手陣は2年前の(W杯で)上野くん(中京大中京)や成田くん(秋田商、現ロッテ)が、制球がよければ130キロ台でも通用することを証明してくれた。やっぱりコントロール重視ですね。それと(佐藤)世那くん(仙台育英、現オリックス)の持ち球が縦系の落ちるボールだったので、それが有利かなと思った。川端くん(秀岳館)や清水くん(花咲徳栄)にはその役割を期待しています。

 ――履正社・安田、横浜・増田らの長距離砲も加わった

 小枝:去年のアジア大会を踏まえた上で、2年前の世界大会を見直して、そういうもの(大砲選手)もいていいんじゃないかと。もちろん藤原くん(大阪桐蔭)、伊藤くん(中京大中京)、丸山くん(前橋育英)など足の速い選手もいますし、むしろ彼らがキーマン。しっかりゲームメークしてくれることを期待しています。ただ、アジア相手には去年の選考基準でも通用しましたが、アメリカ、カナダ、キューバの3か国はみんな攻撃力がある。日本も機動力や技術だけでなく、攻撃もあるんだぞ、というところを見せたい。

 ――昨年落選した清宮を今回は選出した

 小枝:清宮くんは去年自分のチームのキャプテンになって、表には出さないが人知れず苦労もしてきたと思う。変な話、今までは自分のことだけやっていればよかったのが、1年間キャプテンをやって、精神的にも相当成長したはず。これだけの注目があるなかで自分のプレーをできている。そういう精神面での成長が見てとれたので。

 ――期待するのはやはり本塁打

 小枝:僕は正直、ホームランはあんまり…。打ってくれるに越したことはないけど、基本はチームバッティングですね。ケース・バイ・ケースで、その状況にあった打撃をしてほしいし、今の彼ならそれは言われずとも自分で考えられるはず。というか、考えてもらわないと困ります(笑い)。

 ――選手の間からは、早くも主将に推す声が上がっている

 小枝:キャプテンまではまだ考えていません。僕一人の考えではないですし、コーチやスタッフとも話し合って決めたい。ただ、彼は1年時に唯一選出された選手。選手間でそういった話し合いができればとは思う。当時は上級生ばかりでわからなかったと思うが、肌で感じたもの、下級生に思いやりを持って接してくれれば。

 ――打順、守備位置など、清宮の起用法は

 小枝:それはまだ。合宿でノックなりフリーなり、プレーを見てからです。クリーンアップ? それもまだわからない。西東京大会も見ましたが、守備についてはまだ課題もある。DHという選択肢もあるし、そういうこともあるかもしれない。ファーストとどっちの方がいいのか、それもまた考えます。

 ――今大会で清宮に求める役割とは

 小枝:あのですね、清宮のチームじゃない、日本のチームなんです。日本代表なんですよ。一プレーヤーとしては考えていますが、それは他の野手や投手も同じ。清宮くんにも、一プレーヤーとしての自覚を持ってやってもらいたいというのが一番です。特別扱いは絶対にしない。手を抜いたり、いいかげんな部分が見えれば、きっちり注意はします。当然、打てばいいというわけではない。仮にDHで使うとしても、守備練習はもちろんやらせるし、スクイズの練習もさせようと思っている。本人が打つよりもチームが勝つことの方がよっぽど大事。そのためにも、最低限度のことはやってもらいますよ。