今後は“生き地獄”となるのか。傷害と器物損壊の疑いで書類送検された巨人・山口俊投手(30)が20日、ジャイアンツ球場で練習を再開した。球団から今季の出場停止などのペナルティーを科せられたFA右腕は来季からの活躍を誓った。しかし、シーズンでの一軍登板は早くても来季開幕以降で、周囲からはモチベーションの維持を懸念する声が噴出している。

 この日、ジャイアンツ球場で行われた二、三軍の残留組練習で久しぶりのユニホーム姿を披露した山口俊は、まずはチームメートに謝罪。丸々1か月間、自宅謹慎の身だっただけに、別メニューでジョギングやキャッチボールなど軽めに調整した。練習後、「また野球をできる喜びを感じながら練習できた」と語り「来シーズン、1年間働けるように野球に取り組んでいきます」と口にした。

 とはいえ、周囲が気にしているのは山口俊がどこまでモチベーションを保てるのかという点だ。

 チームスタッフは「リハビリ生活なら、今日はここまでできた、じゃあ明日はどこまでできるかなとか、希望を持ちながら気持ちにも、ある程度のメリハリをつけられる」とした一方で“体調万全”の山口俊については「どこも悪いところがないのに、ただただ試合に出られないというのは、リハビリ以上につらいかもしれない。精神的にはね。本人はこれを機会にいろいろ取り組もうとするだろうけど、当面一軍で投げられない中で、どうやって気持ちを持っていけるかが問題じゃないか」という。

 山口俊には球団から罰金と減俸の金銭的ペナルティーだけではなく、今季の出場停止が科せられている。シーズン中の登板が可能となるまでには謹慎期間も含めて約9か月ものブランクができる。投手としては“日常”の一軍で登板して課題を見つけ、それを修正していくような生活は送れない。明確な目標も立てづらい日々を山口俊は、どう乗り越えていくのか。首脳陣からも「モチベーションを保てるかどうか? それは本人の気持ち次第。どうすることもできない」といった声が聞こえてくる。

 山口俊は「自分自身のレベルアップが一番の課題になってくる。故障もないですし。ウエートトレ、投球スタイル、投球フォーム、一つの変化球の精度を上げたり、新しい変化球を覚える時間もある。100%変わった自分を見せられるように、しっかりやっていきます」と努めて前向きにコメントしたが…。自ら引き起こしてしまった事件の代償は、やはり小さくない。