巨人・山口俊に「今季出場停止」「制裁金・実質3億円」厳罰の舞台裏

2017年08月20日 11時00分

会見で騒動を謝罪した山口

 契約解除こそ回避できたが、失ったものも大きかった。警視庁目黒署は18日、先月11日に都内の病院で酒に酔った状態で警備員を負傷させ、扉を壊したなどとして、傷害と器物損壊の疑いで巨人・山口俊投手(30)を書類送検した。これを受けて山口俊本人が同日、都内の球団事務所で記者会見を開き、騒動を謝罪。球団は今季終了までの出場停止と罰金、減俸などの処分を発表した。右腕が“巨額制裁金”をのんだ舞台裏では、どんなやりとりがあったのか。

 騒動発覚から1か月がたち、事態がようやく動いた。警視庁目黒署による書類送検を受け、球団は被害者側との示談が成立したことを発表。午後、山口俊本人による謝罪会見が石井球団社長同席のもと開かれた。会見の冒頭、黒のスーツ、ネクタイ姿の山口俊は、何度も頭を下げながら被害者、ファン、関係者への謝罪の言葉を述べ「今後、このようなことが起こらないよう、社会人として自分を律して参ります」と述べた。

 その後に球団側が処分を発表。この日から今季終了(11月30日)までの出場停止と、野球協約60条の「不品行」に該当するとして「出場停止期間中の参稼報酬について、1日につき参稼報酬の300分の1に相当する金額の減額」「事案の起きた7月11日から出場停止期間前日の8月17日までの間、1日につき参稼報酬の300分の1に相当する罰金」を科したことを明らかにした。

 だが、今回の一件は一般会社員であれば、即クビになっても不思議ではない事例だ。罰金と減俸、出場停止だけでは“甘く”も映る。事実、ネット上ではファンからかなり厳しい意見が続出した。

 ただ球団側もそうしたファンの反応は想定内だったようだ。会見での質疑応答で、石井社長は「一つ、私の方から説明をしたいことがあるんですが…」と自ら口を開くと、「この1か月の間、さまざまな方からご意見を拝聴して、何が一番適切な処分なのか、皆さんに納得していただける処分は何なのか、ということを考えてきました。実を言うと、この罰金、減俸という処分は極めて高額なもので、金額は申し上げられませんが、かなり厳しい処分になっております。過去の出場停止処分と比べても、最も厳しいのではないのかなと考えるほどの処分です」とあえて付け加えた。

 では、石井社長の言う「極めて高額」とは、具体的にどの程度の額なのか。関係者への取材で判明したのは、罰金と今季の減俸額で合わせて1億円超。さらに制裁は来季年俸の大幅カットにも及び、そのすべてを合計すると、実に3億円近い金額になるという。

 ちなみに巨人で高額制裁金を受けたのは1998年のバルビーノ・ガルベス投手。同年7月31日の阪神戦(甲子園)で審判にボールを投げつける暴挙を働き、無期限の出場停止(同年の日本シリーズ後に解除)と罰金4000万円が科された。同列で比べることはできないが、巨額となった今回の制裁金にも、巨人の怒り、本気度がうかがえる。

 提示された処分内容について、山口俊は「自分自身しっかり反省も込めて受け入れさせていただきました」としたが、巨額な制裁金をのんだ背景には、やはり契約解除への現実的な恐怖があったようだ。会見では「正直、(プレーできなくなる)不安の方もすごいありました」と打ち明けた。

 実際、球団内でも山口俊を切れとの声が根強かった。石井社長も「契約解除については考えておりません」と明言しつつ、「様々な方とお話ししてご意見をうかがうなかで、そういう選択肢(契約解除)も私たちの方から用意して意見を聞いたりもしました」と検討していた事実は認めた。

 強硬意見が大勢を占めるなか、契約解除に関しては最終的に選手会の周辺から“待った”がかかったとの情報もある。今回の処分に納得しない者も少なくなく、球団内では「復帰したとしても、一度ついたネガティブイメージを覆すのは難しい。今後もトレード、海外移籍など、あらゆる放出選択肢の模索は続くだろう」と見る向きもある。

 山口俊は近日中にチームメートら現場関係者にも謝罪した上で、早ければ20日にも練習を再開する予定という。身内からも厳しい視線が注がれるなか、再び巨人の一員として受け入れられる日はやってくるのか。