【ズームアップ甲子園】第99回全国高校野球選手権大会第7日の14日、第2試合で東海大菅生(西東京)が11―1で高岡商(富山)に大勝し、3回戦に駒を進めた。西東京大会決勝で怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(3年)を擁する早実に勝利してつかんだ17年ぶりの甲子園の舞台。頂点を狙う東海大菅生の清宮を封じたエース・松本健吾(3年)は“笑撃”のハイテンション男だ。

 2本塁打など11得点と打線が活発な中、背番号1のエース・松本が好投した。2回二死から連続四球と適時打で1点を失ったが、その後は立ち直って完投。チーム初出場だった1996年以来の勝利に導いた。

「最初は緊張してボールが抜けたりしたけど、後半尻上がりに自分の投球ができました。打席でもこの夏、初ヒットが出た。今日が一番うれしいです」と笑顔。「西東京でも、たくさんの強打者と対戦した。その経験で勝てました」と、西東京大会で早実の清宮らスラッガーを抑えたことを自信に変えた。

 西東京大会では背番号11。大会直前の練習試合でふがいない投球をし、若林監督はエースナンバーを渡さなかったが、決勝で早実を2点に抑えて完投した翌日、甲子園では1になることが決まった。「メンタルが強くなってきた。まだまだ伸びしろのある投手です」と指揮官は期待している。

 そんな松本はチーム一のムードメーカーだ。日々“ひとり滑らない話”を披露し、ナインの士気を高めている。ある選手は「ほうっておくと一人で延々と話し続けているし、テンションが上がると、いきなり『ウオオォォォ~!』と、ほえたりする。特に夜がハイテンションです。一人で話しては、自分の話でゲラゲラ笑っている」と明かす。

 加えて、チーム内では雨男でも晴れ男でもない“曇り男”で知られている。西東京大会では登板日がことごとく曇り空で、その中で好投を連発した。本人も酷暑や雨天より投げやすいと話しており、曇り空だったこの日も「朝、空を見て『曇ってるジャ~ン! 俺の日が来たジャ~ン!』と大喜びしていた」(別の選手)。とにかく明るい松本にナインも自然と乗せられ、聖地でもいつも通りのプレーができた。エースはマウンド以外でもチームに大貢献していたわけだ。

 次戦はベスト8進出をかけ、大会第10日に青森山田(青森)とぶつかる。目指すは頂点。「西東京の代表として、甲子園で結果を出したい」と東海大菅生の“ハイテンションエース”は、さらなる活躍を誓っている。