「次は松井」渡辺会長なぜ変心

2013年01月10日 11時00分

 巨人・渡辺恒雄会長(86)が昨年末に現役引退を表明した松井秀喜氏(38)を次期監督に指名した余波は8日、収まる気配はない。現場からは歓迎とも困惑ともとれる声が上がっているのだ。また、これまで指導者・松井氏を高く評価しているとは思えなかった渡辺会長はなぜ考えを変えたのか。


 渡辺会長は7日、松井氏を次期監督に指名した。「原君の後をね。多少、コーチなどもやってもらうけども、いずれ大監督になってもらいたい」と最大限のラブコールを送ったのだ。

 しかし、渡辺会長はこれまでは指導者・松井氏には厳しかった。昨年8月、出演したラジオ番組で渡辺会長は松井氏の巨人監督就任の可能性を聞かれると「想定の中には入ります」としたものの、イチローと松井氏のどちらを指導者として招きたいか問われると笑いながら「僕はイチロー」と即答している。同時にイチローを「あれだけの人間は野球界に何人もいるとは思えない」と絶賛した。この時点で松井氏を“次”とは考えていなかっただろう。

 それがなぜ、「原君の後をね」となったのか。

 ポスト原不在というチーム事情もあるが、それだけではない。昨年12月28日の現役引退表明後、スポーツ紙はもちろん、一般紙、テレビなども松井氏一色。あらためて、その人気の高さが証明された。万が一、指導者として他チームのユニホームを着ることになれば、巨人の観客動員数が落ち込むことも予想される。流出は避けなければならないのだ。

 また、長嶋巨人軍終身名誉監督が愛弟子を将来の監督にプッシュした可能性もある。

 現場の反応はどうか。

 松井の在籍当時を知る現場スタッフが「僕らにとって、松井はONに等しい存在。選手としては向こうで続けてほしい気持ちもあったけど、指導者として帰ってきてくれるなら大歓迎」と話せば、別の球団関係者は「原監督は大歓迎だろうし、『次期監督に松井』という流れは球団にとっても願ってもないプラン。(次期監督は)桑田という名前も聞くが、正直、『イメージ的に厳しい』という声も多かった。会長は一時期(監督候補に)イチローの名を挙げたが、現役にこだわって態度を明確にしなかった松井に対するイライラもあったはず。今回スッパリと引退を決断したことで、松井に対する“熱”が戻ったということではないか。原監督はこれであと2~3年はやることになるだろう。監督自身、以前から“禅譲”するならイチローより松井と考えている。会長もそうした原監督の意をくみ取っての発言ではないか」と解説した。

 とはいえ、その一方では「(巨人が業務提携を結ぶ)ヤンキースにコーチ留学する道に関しては、すでに松井サイドに投げてあるが…。決断してくれたら今季からでも可能だが、松井には『古巣の世話にはなりたくない』という気持ちがあるのかもしれない。これといった返事はもらっていない」(球団関係者)と困惑する声もあった。

 もっとも、G党はそんな“大人の事情”は抜きにして、巨人・松井監督誕生を待っている。