清宮不在の甲子園で最も注目を集めるのはこの男かもしれない。横浜の怪物・増田珠(しゅう)外野手(3年)だ。2年連続で夏の甲子園大会出場を決めた神奈川大会では大会新となる4試合連続本塁打をマーク。大会通算5本塁打で東海大相模の大田泰示外野手(現日本ハム)の最多記録にも並んだ。

 今秋のドラフト上位候補でもある注目株は、3日の甲子園練習を終えると大粒の汗を拭いながら「(昨年夏に続いて)帰ってきたという強い気持ちがある」と言い切り、次のように頼もしい言葉を並べた。「3年生になって自分たちの代できたという思いもある。去年のチームより1つでも勝って全国制覇したい。お客さんがいっぱい入ってくれれば、燃えるタイプなんで。本当に(3年の夏で)最後なんで失うものはない。楽しんで勝てるようにやっていきたい」

 あどけない笑顔も魅力。そんなアンバランスさが女子たちの心をくすぐるのだろう。チーム内では「とにかく最もモテる」とうらやましがられ、ファンレターも寮へ数多く舞い込む。先日の神奈川大会期間中も試合後の増田は女子高生に囲まれ、差し出された色紙やメガホンにペンを走らせて“サイン会”を行う光景が連日にわたって見られた。

 チームメートからは「ウチのベンチ入りメンバーよりも多い人数の女の子たちが、いつもワーッと押しかけてくる。それでも嫌な顔ひとつせず、笑顔で対応しているからすごい」と増田の神対応を称賛する声が絶えない。それでも当の増田は後輩たちに「高校野球は“魅せる野球”じゃない。お前ら、鼻の下伸ばしてんじゃないぞ」と戒めることも忘れていない。自分に言い聞かせる意味もあるのだろう。スター性抜群の“ハマの怪物”が甲子園を席巻しそうな気配だ。