プロ注目の早実・清宮幸太郎内野手(3年)が21日、第99回全国高等学校野球選手権西東京大会の5回戦・法政高戦(神宮球場)に「3番・一塁」で先発出場し、高校通算106号となるソロ本塁打を放った。

 3回先頭の第2打席で1―2と追い込まれながらも相手先発の右腕・折橋(3年)が投じた4球目、94キロの外角カーブを振り抜き、右中間スタンドへ打球を運んだ。当たりはいまいちだったが、大きなフォロースルーで飛距離をグングンと伸ばし、鮮やかな先制ソロアーチ。17日の4回戦に続く3戦連続弾で山本大貴(兵庫・神港学園)の持つ史上最多記録に残り1本に迫った。チーム公式戦としては8試合連発だ。

 その後も怪物スラッガーの勢いは止まらない。1点リードの5回無死一塁、第3打席で2―1から一塁線を痛烈に破る二塁打を放ち、無死二、三塁として好機を広げた。続く4番・野村大樹(2年)の内野ゴロの間に三塁走者が生還して、2点目。清宮のチャンスメークを打線がしっかりとモノにした。

 さらに9回二死一、二塁で回ってきた第5打席では、中堅からワンポイントリリーフで代わったばかりの二番手左腕・椿から右翼への三塁打で2人の走者をかえし、3打点目をマークした。

 早実は5―0で法政を下して8強入り。清宮も1本塁打を含む3打数3安打2四球3打点と、猛打賞でチームの準々決勝進出に大きく貢献した。

 試合後の清宮は先制ソロ本塁打について「打ったところが(バットの)芯だったが、こすってしまったのでどうかなと思った。でも、かなり(打球が)伸びたので良かったです」とコメント。公式戦8戦連続アーチには「中(学時代)は少なくともないと思いますが…。(これまでの人生の中でも)ないと思います」と話し、打撃好調をキープしていることにも「(調子の)波がありながら、その試合にしっかり合わせることができている。どれもコンディションが最高の状態にあるのが要因かなと思う。水風呂に入ってマッサージもして、しっかりケアできている」と胸を張った。

 早実・和泉実監督(55)は「苦しい中でキャプテン(の清宮)が打ってくれて雰囲気が良くなった。彼の場合には相手が本当に研究していろんな球をほうってくる。方向性を絞るのはすごく難しい中、強引な感じがなくなっているし、明らかに1年生のころよりは飛距離が変わっている」と目を細めた。

 この日、神宮球場で行われた法政高―早実戦の来場者数は5000人。平日で午前9時開始の第1試合にもかかわらず、多くの人が炎天下のスタンドから声援を送った。主催者も「怪物フィーバー」に柔軟な対応を見せ、午前7時予定だった入場券販売の時刻を同6時40分に前倒しし、5回戦としては異例の外野席を開放。取材メディアも38社182人が大挙して訪れた。