コーチ人事にまでメスが入るのか。巨人は18日のロッテ戦(東京ドーム)に延長12回、7―5で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。亀井の逆転3ランで交流戦最下位を免れ、由伸監督にとってはうれしい指揮官通算100勝目となったが、歴史的大連敗の余波はまだ収まっていない。シーズン途中の「GM解任」に続き、読売本社内には“第2の粛清人事”を求める動きがあるというが…。

 勝負を決めたのは亀井のひと振りだった。2点を勝ち越された延長12回裏、坂本の適時二塁打で1点差。なおも一死二塁とし好調のマギーがこの試合3度目の敬遠で歩かされ、打席に立ったのは途中出場の亀井だ。この日は8回と10回のチャンスで、マギーを敬遠されて自身は凡退。その屈辱をバットに乗せた打球は右翼スタンド中段に吸い込まれる逆転サヨナラ弾。地鳴りのような大歓声の中、ダイヤモンドを回る亀井の目からは涙がこぼれ落ち、出迎えた由伸監督に抱きついて男泣きし、ナインにモミクチャにされた。

 お立ち台に上がっても亀井は目を真っ赤に腫らし「心が折れていたので、奇跡としか言いようがない。(最後のチャンスは)打てなかったら命を取られるぐらいの気持ちでいった」と言葉を詰まらせた。由伸監督は「劇的な試合だったんで、思い出には残るかもしれませんね」とたたえた。

 これで交流戦の結果は6勝12敗。指揮官は「終わったことはどうしようもできない。まずこうしていい形で戦うことができましたし、またこの戦い方で再開できれば」と、最後の2カードは5勝1敗で締めくくった交流戦を振り返ったが、チームにとっては歴史的連敗、そしてシーズン中のGM交代劇など激震が相次いだ、散々な交流戦だった。

 13日に行われた球団の株主総会では、石井球団新社長と、鹿取GM特別補佐のGM就任が正式決定し、これで人事上の動きは表面上、収束したかに見える。しかし、実際はそうではない。読売内部にはさらなる“粛清”を求める声が少なからず出ており、編成トップが交代した今、次のターゲットとされているのは現場、首脳陣の配置転換だともささやかれている。

 では、実際にコーチ陣を入れ替えることはあるのか。この日の試合後、球団首脳は本紙の直撃に「それはない」と断言。「今、チームはいい流れできている。このタイミングで代える必要があるのか。リーグ戦が再開した後も、この体制で戦っていこうと考えている」と続けた。

 リーグ戦は23日から再開する。今後、再びチーム状態が悪化すれば予断を許さない事態となりかねないが、当面は“無風”となる見込み。開幕以来となる同一カード3連勝を決めた由伸巨人は、一致団結して上昇気流に乗っていけるか。