阪神は4日の日本ハム戦(甲子園)に、延長11回の末、4―3と劇的サヨナラ勝ちを収めた。決めたのは、前日(3日)にプロ初アーチとなる逆転本塁打を放つなど大活躍した岡崎太一捕手(33)だ。

 3―3の11回裏一死満塁。途中出場で回ってきた初打席、ファウルで粘り、フルカウントからの13球目を左前に弾き返した。「何と言っていいのか分からないです。最初はスクイズかな、と思ってましたが(打てのサインで)いくしかないなと。監督やコーチ、ファンも自分には期待してなかったと思うけど、やりました!」。2日連続のお立ち台で大興奮だ。

 金本監督も「まさか次の日も決めるとは…。(岡崎の)人生が変わってきたな」と最敬礼するしかない。

 泣かず飛ばずだったこれまでの野球人生。即戦力捕手として期待されながらも大半が二軍暮らしで結果は出ない。球団は正捕手候補にメジャーから城島、FAで藤井、日高、鶴岡と外部補強を繰り返してきた。まさに岡崎は「阪神は生え抜きの正捕手が出てこない」とやゆされる“象徴的存在”だった。

 それでも昨年は金本監督から「あいつの努力は買う」と再評価され、虎捕手史上、最も遅いプロ12年目での開幕スタメンの座を手にした。今年はプロ4年目の梅野が台頭し、再び控えが主となっているが、野球の神様は見捨ててはいなかった。

「(前日は)嫁さんが泣いてた。よそ行きの料理も作ってくれた。僕もうれしかった」と振り返る岡崎の一打でチームは交流戦2カード連続の勝ち越しで貯金は再び10。V奪回を果たすにはこんな泥臭い男が必要だ。