阪神が25日のDeNA戦(甲子園)を0―1で落とした。虎打線は初対戦となったDeNA・浜口に6回まで無安打に抑えられるなど苦戦し、今季初の零敗だ。下降気味の打線のなかでも深刻なのが高山、原口、北條の“金本チルドレン”。最近はスタメン落ちも目立ってきたが、本紙評論家の伊勢孝夫氏は金本知憲監督(49)に「若手は我慢してスタメン起用すべき」「復調のためにエンドランを使うべき」と提言した。

【伊勢孝夫 新IDアナライザー】技術的に見れば高山は振りが昨年よりも大きくなっている。テークバックが大きすぎるあまりバットの出が悪い。もともと大きいスイングで長打を打つのではなくキレのいいスイングが持ち味。もう少しコンパクトに鋭い振りを心掛けるべきだ。原口は絶不調には見えないが、実質2年目ということで各チームの対策が進み、昨年よりも厳しい攻めに苦しんでいる。北條は遊撃の守備との兼ね合いで打撃にも影響が出ているように感じる。

 それぞれが壁に当たっている時期だが、調子が悪いからといって彼らをスタメンから外したり簡単に代打を送るべきではない。競争させることで奮起を促すのは分かるが、まだ開幕から20試合が過ぎただけ。高山、原口、北條を大きく育てるならば我慢して起用してほしい。一人前になるためには苦しいとき、試合に出ながら解決する術を身に付けないといけないからだ。出たり出なかったりの状態ではいつまでたってもクリアできずに中途半端のままだ。

 試合に出続けることで責任感を養うことにもつながる。たとえ負けたとしても「俺が打てなかったから負けたんだ」と痛みとともに実感することができる。とっかえひっかえの状況の選手にそんな意識が芽生えることはない。勝利が求められる金本監督の立場も痛いほど分かるが、7月のオールスター戦までは調子や相手投手に関係なく彼らをスタメンで使い続けるべきだ。

 また、復調への具体策としてはエンドランの有効活用を勧めたい。例えば、この日の7回二死一、二塁に代打で原口を投入した場面。フルカウントになったことで走者はスタートした(結果は四球)が、もっと早い段階でエンドランを仕掛けてもよかった。打撃不振の打者というのは慎重になりがち。エンドランのサインを出してバットを振らせることは効果的だ。相手の守備陣形を崩すことでヒットゾーンを広げることができ、当たり損ねでもヒットになることがある。そんなヒットでも復活につながる。ベンチワークで安打が出やすい状況を作ることも必要だ。(本紙評論家)