【テキサス州アーリントン23日(日本時間24日)発】レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)は本拠地でのロイヤルズ戦に先発し、2015年3月の右ヒジ靱帯修復手術後最長となる8回を投げ、5安打2失点、8三振1四球で2勝目(2敗)を挙げた。3回に連続アーチを浴びたが、4回以降は相手打者を圧倒。完全復活へ大きく前進だ。チームはロイヤルズとの4連戦に4連勝、9勝10敗で借金は1とした。

 8回、ダルビッシュがベンチから出てくると本拠地グローブライフ・パークの観客席から歓声が上がった。7回を終えて99球。ほとんどのファンは8回は2番手と思ったはずだ。実際、ダルビッシュが術後、8回のマウンドに上がったのは昨年8月17日のアスレチックス戦だけ。この時は先頭打者に二塁打されると交代している。

 先頭ビュテラは1ボールから外角低めの速球で平凡な中飛に仕留めた。1番メリーフィールドは2球で追い込みながらファウルで粘られフルカウントとされたものの、8球目、内角から鋭く曲がるスライダーで見逃し三振。メリーフィールドは思わず腰を引いた。2番ムスタカスはカウント1―2から156キロのフォーシームで詰まった二ゴロに打ち取った。まさにエースだ。ファンは大きな拍手を送った。

 序盤は不安定だった。初回は二死後、3番ボニファシオにメジャー初安打を献上。2回も二死後に四球を与えた。いずれも得点は許さなかったが、ダルビッシュらしからぬ投球だ。

 すると3回。簡単に二死を取ったが、2番ムスタカスに内角低めの変化球を右翼席に運ばれて、先制点を許した。さらに続くボニファシオに内角に甘く入ったスライダーを左翼席上段に叩き込まれた。まさかの連続弾。4番ホスマーにも中前にはじき返された。前回登板のアスレチックス戦では5回まで無失点だったが、6回に突然崩れた。悪夢の再現か…。嫌な感じだったが、5番カスバートを二飛に抑え、2点で切り抜けた。

 直後の攻撃で味方打線が1点を返して迎えた4回。ダルビッシュのギアが上がった。先頭ゴードンは外角低めのスライダーで空振り三振、エスコバルは二ゴロ。昨季まで打率3割4厘、4本塁打と苦手にしている8番モスをスプリットで空振り三振で初の三者凡退。5回も三者凡退だ。

 6回は一死後、ホスマーに中前打されたが、続くカスバートをカットボールで狙い通り二ゴロ併殺打。7回も三者凡退に片付けた。

 この日の速球はMAX156キロ。内角スライダーに右打者が腰を引く場面が何度も見られ、カーブ、カットボールの制球も良かった。ストライクが先行し、四球はわずか1。ストライク率は約70%だった。4回以降は試合を完全に支配した。打線は4回に4四死球と相手先発の乱れに乗じて無安打で逆転。効果的なソロ弾2発で援護した。

 4回以降、相手を圧倒したダルビッシュ。いよいよ本領発揮だ。