早実の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(3年)に“メモリアル本塁打プレッシャー”が心配されている。春季高校野球東京大会準々決勝・駒大高戦(15日、神宮第2)で高校通算80、81号を連発。チームの4強入りに貢献したばかりの清宮だが、早実OBは「80号を意識しすぎていた。ようやく呪縛を破っても、すぐ次がある。その都度、不振に陥らないといいけど…」という。

 確かに清宮は極度の不振に苦しんでいた。15日の本塁打は練習試合解禁日の3月8日の早大戦で放った一発以来。その間、センバツを含め、1か月以上も快音は鳴りをひそめていた。映像を見比べ、一つひとつ問題点を洗い出した清宮は15日の試合後「原因がわかった。いろいろあって言いたくないんですけど…下半身です。それがわかって焦る気持ちもなくなりました」と笑顔で話したが、OBは「節目の80号」と周囲から言われたことによる精神面も今回のスランプと無関係ではないはず、との見方。ましてこの先は大阪桐蔭・中村剛也(現西武)の83本、大阪桐蔭・中田翔(現日本ハム)の87本と現役で活躍中の主砲の記録が待ち構えるだけに、どうにも気になるようだ。

 もっとも、早実・和泉監督は「(清宮)本人は数字は意識してないと思うよ。周囲が騒いでるだけで」と事もなげに話す。当の清宮も「ホームランは打てるだけ打てれば…。もともと本数は意識してないので、何本とかはない。目標はチームを優勝に導けるようなバッティングをすること」と言い切り、中村や中田の“幻影”など気にもしていない感じだが…。

「これだけホームランが出なかったのは初めてですけど、これもひとつの経験。これからまたこういう(打てない)ときがきたときに、いい引き出しが増えた」と不振すら糧に変えるつもりの清宮。折しも16日、東京都高校野球連盟は春季東京都大会の決勝戦の日程変更を発表した。当初は23日の午前11時に神宮第2球場で行われる予定だったが、27日午後6時から神宮球場に変更された。球場変更もだが、ナイター開催は極めて異例だ。これからが本番の“本塁打狂騒曲”もなんのその。怪物はそのバットでOBの心配も一気に蹴散らす!?