由伸巨人の快進撃が止まらない。巨人は5日のDeNA戦(横浜)に4―2で快勝。投打がかみ合い、4年ぶりとなる無傷の開幕5連勝を飾った。この日のヒーローは投打に活躍した内海だったが、オープン戦で単独最下位に沈んだチームがこれほど激変した要因はどこにあるのか。実は意外な男の存在がナインに好影響を与えていた。

 順調すぎる開幕ダッシュだ。1―1の同点で迎えた5回、まずは「7番・左翼」で今季初スタメンした重信が三塁線を破る二塁打で口火を切ると、一死三塁の場面で先発の内海が中前タイムリーで勝ち越しに成功。その後も立岡の一塁強襲の右前適時打、坂本の犠飛でこの回3点を挙げ、7回1失点粘投の内海に初勝利をもたらした。

 これでチームは2013年の引き分け1試合を挟む開幕7連勝に迫る怒とうの5連勝。その要因は冴え渡る由伸監督の采配にもある。この日は岡本に代わって起用した重信が攻撃の起点を作った。当の指揮官は「みんなそれぞれがいい働きをしてくれている。それに尽きる」と自分のことよりもナインをたたえたが、村田真ヘッドコーチは「(1番の)中井は出塁率が(3割6分4厘と)4割近いし、監督は『1、2番は動かしたくない』と。7番で出たら(8番の)小林がバントもしやすい」と説明。いずれにせよ、やることなすこと思惑通りに進んでいる。

 しかし、それだけではないようだ。昨季は攻守の要として好成績を残しながら今季は新助っ人のマギーにスタメンの座を奪われ、代打の切り札としてベンチ待機となった村田修一内野手(36)の存在がチームの士気を高めている。

 村田本人は先発出場をあきらめていないが、周囲はどう受け止めているのか。左の代打として控えに回る脇谷は「(村田が)どういう思いでいるかはみんな知っているのでね。それで腐るような選手はうちにはいないですけど、腐らずに黙々と準備をしていますから。みんなそうですけど、特に“おっさんたち”のモチベーションは高いですよ。あいつが打ったし、俺も打ってやろうという気持ちで打席に入れています」と相乗効果を強調。また、別の野手も「代打で残っていれば特に終盤は相手にとって脅威にもなるし、ファンも村田の思いを分かっていると思うので球場も盛り上がるし、チーム全体も乗ってくる」と“村田効果”を口にした。

 この日の村田は4―1の8回二死満塁のビッグチャンスであえなく凡退したが、登場時にはG党だけでなく古巣のファンからも大歓声が飛んで球場全体が大盛り上がりとなった。由伸監督にとっても“村田外し”は苦渋の決断だっただろうが、それもまたチームに思わぬ副産物をもたらしている。