阪神の新主将・福留孝介外野手(39)が沖縄・宜野座キャンプで見事な“新アニキ”ぶりを発揮している。ルーキーや新加入選手がいち早くチームに溶け込めるよう懸命に気を配り、グラウンド外でも選手の代表として球団トップと意見交換。チーム内から拍手喝采を受けている。

 宜野座キャンプ第5クール最終日の23日、福留が動いた。午後から行われたメーン球場でのケース打撃。右ヒザの関節炎による別メニュー調整を終えて一足先に宿舎に戻ろうとした糸井を呼び止め、ベンチから一緒に練習を見守った。故障でチーム練習に加われない新戦力を思いやった福留らしい気遣い。球団関係者も「さすがは福留。糸井にとってもチームにとっても有意義な時間になった」と新主将の“ファインプレー”をたたえた。

 今キャンプでは糸井ばかりに関心が集まり、影の薄い存在となっている福留だが、現役時代に“アニキ”と呼ばれた金本監督に負けない“新アニキ”ぶりを見せている。キャンプ直前の甲子園で自主トレ中の新助っ人エリック・キャンベル内野手(29=前メッツ)を見つけると、前主将の鳥谷とともに「一緒に練習しよう」と声を掛けた。

 初来日で右も左も分からない新助っ人の道先案内人役を買って出たわけだが、昨年レギュラーと主将の座も失った鳥谷を交えた点にも、ある球団幹部は「鳥谷から『主将を“預かった”』という福留の言葉通りの行動。みんなが今のチームの雰囲気に手応えを感じている」と感謝しきり。グラウンド外でもキャンプ序盤に四藤球団社長と異例の“トップ会談”に臨み、選手側の意見を伝えており「チームが勝つために必要なことを率先してやってくれる。主将としての自覚を強く感じる」(別の幹部)と拍手喝采だ。

 福留は自らの役割について「難しいことをするつもりはない。監督、コーチからの話とか、選手間の話とか、選手がこう思っていますという話を伝えられたらいい」と多くを語らないが“新アニキ”としての振る舞いはまさに有言実行。頼もしい限りだ。