巨人キャンプが一気に熱を帯びてきた。那覇キャンプ第1クール最終日の16日、高橋由伸監督(41)が今年初めてノックを解禁。阿部慎之助内野手(37)ら主力トリオを相手に約1時間、計347球の“ウルフノック”を浴びせ、キャンプ地を大いに沸かせた。一方、若手もベテランに負けじと声を張り上げ元気満点。サバイバルムードが盛り上がっている。

 メーンイベントが始まったのは、全体練習終了後のグラウンド。阿部が一塁、坂本が遊撃、村田が三塁のポジションにつくと、ホームベース付近にボールが山盛りになったケースが用意された。

 井端内野守備走塁コーチに続き、満を持してウインドブレーカーを脱いだ由伸監督が、選手当時と同じバットを手に登場。監督就任後、野手相手では初となる真剣ノックが始まった。

 現役時代、共に汗を流した選手たちだからこそ、容赦しない。初めは緩かったゴロが、徐々に鋭さを増す。ミスをするたびにドSな笑みを浮かべ、村田に121球、坂本に117球、阿部には109球。計347球のノックの嵐を浴びせた。

 受けた3人もハツラツとした動きでスタンドを沸かせた。「監督、今の完全なファウルです!」(村田)、「ラッキー! 打ち損ない、来た」(坂本)。横っ跳びの連続で泥だらけになりながら、時に笑顔でヤジを返し、スタンドからは何度も拍手が巻き起こった。

 ノックの感想を求められた指揮官は「たまたま主力3人が特守をすることになっていたんでね。自己採点? 自分でするもんじゃないから」と普段通りクールに切り返したが、主力トリオの元気な姿に満足げだった。

 またこの日は、若手ナインも主力に劣らず元気ハツラツだった。二塁レギュラーを狙う吉川大を中心に柿沢、山本、辻らが競うように声を張り上げ、地味なシートノックを大いに盛り上げた。

 一部から元気がないとの声が相次いだ宮崎キャンプ。OBに言われるまでもなく、井端コーチは初日に若手を集め「なんで一番声出してるのが慎之助なんだよ。声が途切れた瞬間、お前ら全員三軍送りだからな」と雷を落としたという。

 那覇に移って活気づき始めた若手の様子に、鬼コーチは「当たり前のことなんだけどね。ようやく、ちょっとはマシになってきたかな」と頬を緩めた。由伸監督も「声はもともとそんなに気にしてませんけど、場所が変わって温かいということと、実戦も始まりますし、雰囲気も多少は変わったのかなと思います」。

 外野の心配は無用とばかりに、沖縄に移って一気にギアチェンジした由伸巨人。第2クールから始まる実戦でも、活気にあふれたプレーで沸かせてほしいところだ。