【伊原春樹「新・鬼の手帳」】このチームには躍動感がある。DeNAの沖縄・宜野湾キャンプを訪れ、率直にそう感じた。昨季の戦いぶりを見ていても分かるように、若い力がどんどん伸びているからだろう。

 巨人時代に苦楽をともにしたラミレス監督と久しぶりに話した。私が宮崎で巨人のキャンプを訪れたことを知るや「ジャイアンツはどうでしたか?」と質問してきたが、やはりライバル球団として気にかかるのであろう。それでも焦っているわけではなく、余裕すら感じられた。チーム全体が順調に調整できていることと、やはり昨年のCSファーストステージで巨人を倒した自信もあるに違いない。

 そんな指揮官に抜てきされた若手たちが今キャンプでは存在感を見せつけている。面白いと感じさせられたのはドラフト5位ルーキー・細川成也外野手(18=明秀学園日立高)だ。高卒新人ながらも二軍キャンプを訪れていたラミレス監督の目に留まり、12日に行われた一軍の紅白戦では紅組の5番に抜てきされ、13日の阪神との練習試合ではバックスクリーンに豪快な本塁打。激戦区となっているベイスターズの外野陣でいきなりレギュラーの一角へ入り込むことはさすがに難しいだろうが、高校生離れしたスイングの力強さは確かに目を見張る。

 こういうイキのいい若い世代を下からパッと見つけてくるあたり、やはりラミレス監督の眼力は「さすが」のひと言だ。キャンプでは成長株が入ってくることによってチーム内に競争意識が芽生えるし、いい風が吹き込まれる。頭のいいラミレス監督はどういう波及効果がチーム全体に生まれるかを計算した上でしっかりと目を配らせているのだろう。

 それから投手ではドラフト1位ルーキーの浜口遥大(21)。神奈川大のころから大学ナンバーワン左腕として個人的に注目していた。次々と出てくるハマの若手をどう生かしていくのか。ラミレス監督の手腕には今季も注視していきたい。(本紙専属評論家)