メジャーにもトランプショックか。イチロー外野手(43)と田沢純一投手(30)が所属するマーリンズが売却される可能性が浮上したと9日(日本時間10日)、複数の米メディアが報じた。身売り先の候補がドナルド・トランプ米大統領(70)の長女イヴァンカさん(35)の夫ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(36)の一族が経営するニューヨークの不動産開発業者だという。マーリンズファン、野球ファンのみならず全米が騒然としている。

 春季キャンプ直前に衝撃が走った。AP通信などによると、マーリンズオーナーのジェフリー・ロリア氏(76)がニューヨークの不動産開発グループとおよそ16億ドル(約1820億円)で大筋合意したという。
 ロリア氏は2002年に1億5850万ドル(当時=約206億円)でマーリンズを買収。03年のワールドシリーズ制覇後は13年間プレーオフに進むことができず、昨季もナ・リーグ東地区3位だった。スタンドもガラガラで観客動員も低迷が続いている。

 主力を相次いで放出するなど、ロリア氏はチーム強化面での評価は芳しくない。12年に多額の税金で新球場に本拠地を移転しており、投資額の10倍以上で売却を成立させれば、猛批判は必至だろう。しかし、今回その矛先が向いているのは売却先だ。

 複数のメディアは売却先はクシュナー大統領上級顧問の一族が経営する企業だと伝えた。交渉の中心はクシュナー氏の弟ジョシュア氏との報道もある。クシュナー氏自身も12年のドジャース売却の際には入札に参加していたという。

 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)はトランプ大統領との関係により「ファンやスポンサーはチームやリーグをボイコットするか、支持するか」などと取り沙汰されているとした。全米を二分しているトランプ大統領「支持」「不支持」の対立がメジャーに持ち込まれる可能性があるというわけだ。

 トランプ大統領が選挙期間中に続けた排斥主義的な主張を受け、メジャーに限らずプロスポーツ界で“反トランプ”の立場を示した選手は少なくない。当然、ファンの反発も大きい。ワールドシリーズを制した球団をはじめ、優勝チームのホワイトハウス訪問は恒例行事だが、「選手の抵抗や反対で、訪問が実現しないこともあるのではないか」との指摘もある。トランプ大統領に「NO」を突きつける可能性があるわけだ。

 実際、5日(同6日)に行われた米プロフットボールNFLの王者決定戦、第51回スーパーボウルを制したペイトリオッツの主力2選手がホワイトハウス訪問に参加しない意向を表明している。

 ただ、最終売却額は未定。16億ドルは高すぎるとし、資金調達次第では、破談になる可能性もあるという。先行き不透明の中、イチロー、田沢に対する今後の影響も心配だ。マーリンズ投手陣のキャンプインは14日(同15日)に迫っている。どうなるか。