巨人の背番号2にアクシデント発生だ。日本ハムからFA移籍した陽岱鋼外野手(30)が9日、午前の練習中に「下半身の張り」を訴えて早退した。症状は軽度で大事を取ったとみられるが、そこで浮き彫りとなったのは中堅手の層の薄さだ。陽岱鋼に有事の場合の代役は誰になるのか。超激戦区の二塁だけでなく、中堅の2番手争いもますますヒートアップしそうだ。

 この日の宮崎は、キャンプ一番の寒波。それでもウオーミングアップ、ランニングメニューまでは普段通りにこなした陽岱鋼だったが、その後のキャッチボールから姿が消えた。ベンチ裏がざわつく中、午後1時ごろにトレーナーが運転する車で早退。その際、足を引きずるようなしぐさは見られなかったものの表情は険しく、報道陣の問いかけにも無言だった。

 ただ、キャンプを離脱するような深刻な事態ではないことが分かり、周囲はひとまず安堵。大事を取っての措置で、高橋由伸監督は「別に無理する時期じゃないですからね」と淡々としたものだった。

 村田真ヘッドコーチも「(今後の練習参加は)状態を見ながらやな。ケガしたら困るし」と語り11、12日に予定される紅白戦について「健康だったら出るし、まだ張りがあったら出ない」と今後の見通しを示した。

 こうも首脳陣が冷静なのは、陽岱鋼の“離脱”がある程度、織り込み済みだったからでもある。日本ハムでの過去3年間は故障続きで、全試合出場を果たしたのは2013年が最後。もちろん、今季の中堅レギュラーは陽岱鋼で決定的ながら、古傷を多く抱えるだけに、今後も同様の事態がいつ起きないとも限らない。

 問題は、今回のように陽岱鋼にアクシデントが起きた際の穴を誰が埋めるのかだ。その候補となるのが、今キャンプで二塁にも挑戦中の立岡や2年目の重信。また二軍には橋本到や松本らがいる。11、12日の紅白戦は、シーズンでもそこそこの出場機会を見込める“陽岱鋼の2番手”をうかがう選手たちにとって、アピールする絶好の場となる。

 由伸監督も「(陽岱鋼は)あさって(11日の紅白戦)とかは出ないかもしれませんし、誰か代わりの人が出るかもしれないですからね」と、中堅サブ組の力を見極めたい考えだ。今キャンプでは二塁が最激戦区となっているが、実は若手にとって中堅も隠れた“狙い目ポジション”。大型補強を断行したとはいえ、現有戦力にもチャンスは転がっている。