【アリゾナ州ピオリア6日(日本時間7日)発】日本ハムのアリゾナキャンプでひときわ輝いているのが巨人からトレード移籍した大田泰示外野手(26)だ。フリー打撃ではその飛距離、打球の速さで周囲を驚かせている。2008年のドラフトで巨人に1位指名されながらも結果を残すことができなかった未完の大砲に古巣への思い、新天地で迎える9年目の決意を聞いた。

 ――アリゾナでのキャンプはどうか

 大田:全体のメニューは短いが、そのあと打ったり、トレーニングをしたり、自分の時間に費やせるメリットは大きい。

 ――今、取り組んでいることは

 大田:結果を出せなかったら話にならない。年齢も、ファイターズだったら中堅クラスになるし、うかうかしていられない。打撃に時間を費やしたい。チームプレーの連係の部分も、ジャイアンツと違う部分もあるので、しっかりとコミュニケーションをとって、確認していく。

 ――背番号は33だ

 大田:ぞろ目にしてもらえたのは、素直にうれしい。何番になるのか、ファンフェスタまで全然知らなかった。55(2009~13年)、44(14~16年)ときて、33がきたから、面白いなと。

 ――外野の定位置を争うが

 大田:周りからみれば、ライバルが多いとか、競争を勝ち抜かないといけないとか、いろいろあると思うんですけれど、やるのは自分。周りを気にして、あいつが打ったから自分も打たなきゃいけないとか、そういう気を起こさないように自分のペースでやっていくことが一番大事だと思う。今までも、8年間ジャイアンツでやってきて、そこは自分で反省している部分。それで自分を苦しめてプレーを小さくさせるというのが悪循環になると思うし、いい結果が生まれない要因になると思う。自分の意思とか、持っているものをしっかりと出すことだけにベストを尽くせばいい。

 ――何を期待されていると思う

 大田:長打だったり、一発だったり。そのつもりで自主トレもしてきたし、もちろん、進塁打とか、得点圏での打撃も大事だと思うんですけど、それ以外のところは振り回していくぐらいの気持ちでやりたい。

 ――やるべきことは巨人時代と変わるのか

 大田:いや、変わっていますね。ジャイアンツのときは、とにかくヒットを打って、数字を残して、試合に出られる形を作って、レギュラーをとって、そのためにはと逆算してやっていましたけど、今はとにかく自分の持っているポテンシャルを全て出し切る、そのための準備をするキャンプにしたい。まだシーズンを通してレギュラーとして出たことがないから分からない部分もあるが、そのつもりで自主トレしてきた。やり通して、いいものを出したい。

 ――移籍が決まった時は

 大田:ドラ1で入って、活躍できなかったわけで、年齢も年齢で、年数も年数ですから、頭の中ではトレードというのもあって、危機感を持ってやっていた。でも、話をもらったときは、ビッグチャンスだと思ったし、やるしかないと思った。ビッグチャンスにしなくちゃいけない。

 ――チームに必要とされていると感じるか

 大田:必要とされているかどうかとか、僕の中では考えていない。野球にはどうしてもチームカラーがあって、悩んでいた部分もあった。気持ちもそうだし、スタイルもそうだし、変わらなきゃいけないと思っていた。ジャイアンツにいたままだったら、その気持ちが変えられなかったかもしれない。ぬるま湯につかっていたかもしれないし、そういうところがあったから、心機一転できる、ゼロからやり直せる、変われるじゃないかと思えるのは大きい。

 ――選手としてどうあるべきか、あらためて考える機会になったのでは

 大田:もちろん、ジャイアンツでも長打を期待されて、結果を期待され、いろいろなことを考えてきた。右打ち、チームバッティングも覚えなければいけない、そういうものももちろん大事だと思います。けれど、そういった自分がもがいていたものが遠回りさせたのではって、そういった意味では再確認できる。

 ――これまでの故障歴とその対策は

 大田:肉離れを3回。最後は2015年の春。オープン戦でずっと試合に出て、打率も3割ぐらい打って、4番候補って言われ、結果が出ている時期だったので非常にもったいなかった。デッドボールとか、そういったアクシデントはしかたがないが、プロなら防げるものは防がないといけない。ストレッチをしっかりやり、オーバーワークにならないようにするとか。以前は、寝たら治るくらいに思っていたが、そうではない。疲れが出てくると(体の張りとかが)出てくる。今日は(体の)調子が悪いなあと思った時はあまりやらない。調子がいいと思ったときはやりますけどね。ストレッチをしっかりやり、しっかり睡眠を取り、水分を取る。あとはトレーニングですね。

 ――日本ハムの印象

 大田:日本一の球団ですからね。若くていい選手は目をつぶってでも起用し、その中でも入れ替わりが激しく、勢いがある。うかうかしていられない。

☆新たな武器=大田は初めて渡った北米大陸で、レッドソックスのベッツ外野手、マリナーズのカノ内野手ら、近年、多くのメジャーリーガーが愛用している「リザード・スキン」と呼ばれるバットのグリップテープを入手した。キャンプ中はチームカラーでもある青、黄の迷彩柄を使用しているが、NPBでは使用不可。使用可能な黒、白、茶の中から白を新たに入手した。感触について「軟らかいですね。痛くないし、滑らないし、いいと思う」と述べており、公式戦でも使用する考えのようだ。アーチ量産の秘密兵器となるか。