今季限りで現役を引退した巨人・鈴木尚広氏(38)が、Gナインにラストメッセージだ。通算228盗塁、歴代トップの盗塁成功率(8割2分9厘)をマークし、ユニホームを脱いだ“足のスペシャリスト”。グラウンドを離れた鈴木氏は後輩たちをどう見ているのか。後継者となり得る存在は…。温かくも厳しい“遺言”を残した。

 ――野球のないオフをどう過ごしている

 鈴木:走ったりとかはしてないけど、1週間に1回は体を動かしています。社会人になるので不安もあり、楽しみもあり。人とのつながりになってくるので、いろんな人と会って勉強してます。まだ“フリーター”なので名刺はないですよ(笑い)。

 ――球界の情報は気になるのでは

 鈴木:キャンプになれば見ますけど誰がどうなったかなんてフタを開けてみないと分からない。だんだん変わっていくかもしれないですけど。

 ――チームは秋季練習から井端内野守備走塁コーチを中心に、走塁の意識改革に着手した

 鈴木:いい方向に向けばいいと思う。そこはチームに足りなかったところだと思うので。動ける選手が足を絡めていかないと(攻撃の)バリエーションも増えない。足の速い選手が2人、3人とレギュラーに入ってくれることはチームが望むことだと思いますし。ワンヒットで点が取れるようになれば、相手のベンチも神経を使うと思う。

 ――盗塁のセンスを感じた後輩は

 鈴木:誰もいないです。

 ――誰も!?

 鈴木:センスがあるかどうかは、やってみないと分からない。とにかく走らないんじゃなくて動かない。魅力があったとしても何かを恐れたり…。走らないというか走れない。動けない、動きだせない。そういう準備をしてきていないから動けない。だから盗塁数も減りますよ。

 ――手厳しい

 鈴木:スタートラインにも立っていないですよ。結果にばかりこだわって走っていない。そうじゃなくて、失敗から学んでいかないと。スタートも、盗塁を試みようともしていないのに盗塁はできない。どう失敗したのか、なぜ失敗したのかを経験していかないと、最初からうまくいくわけがない。いきなり代走で出て成功するほど甘くはない。

 ――どうすればいいのか

 鈴木:シーズン中に失敗は許されない。じゃあ、試せるところはいつ、どこなのか。考えて考えてやっていかないと。

 ――自主トレやキャンプ、オープン戦で試せと

 鈴木:打撃練習をあれだけ長くやっているなら、走ることにも時間を割いてほしい。僕はそう思っていた。(後輩たちとの今後?)自主トレに呼ばれても行く時間はないですけど、聞きたいということがあればアドバイスしたいと思っています。