V奪回のカギを握るのはこのコンビだ! 12年ぶりのリーグ制覇を目指す阪神。今オフはFA移籍した糸井嘉男外野手(35)にばかり注目が集まっているが、虎OBで本紙評論家の遠山奨志氏は投打のキーマンに虎復帰2年目の藤川球児投手(36)と育成枠から這い上がった“シンデレラボーイ”原口文仁捕手(24)を指名した。

【遠山奨志のブラッシュ一本締め】今オフの阪神は4年総額18億円(推定)で獲得した糸井の話題でいっぱいだ。どこのマスコミも優勝奪回のカギを握る男として持ち上げる傾向にあるが、私は藤川と原口が本当のキーマンだと思っている。

 今季の藤川は43試合に登板して5勝6敗3セーブ、防御率4・60と不本意な成績に終わった。先発から中継ぎに回った今年と違い、中継ぎに専念する来年はまさに勝負の年。今年と同じような投球に終始するようなら確実に居場所はなくなる。 残念ながら直球の球威が落ちているのは確か。制球力を上げるしかない。もともと駆け引きのセンスはあるだけにコントロール重視のスタイルへの変貌が今こそ必須となる。背番号は全盛時代の「22」に戻るが、以前のような“藤川球児”を追い求めてはダメ。逆に“ニュー球児”に生まれ変わる必要がある。

 藤川が守護神など「勝利の方程式」で力を出せば、チーム全体への波及効果が大きくなるし、12年ぶりの優勝にグッと近づくはずだ。

 原口は今季11本塁打をマークしたが、捕手としては課題が露呈したシーズンで盗塁阻止率は2割3分3厘だった。打撃は金本監督も認めているのだから、あとは捕手としてどこまで成長できるかにかかっている。

 首脳陣は原口の肩の状態次第では一塁コンバートも視野に入れているようだが、本人も希望しているように捕手一本でいってほしい。打てる原口が扇の要として固定できるかどうかも、来年の大きなポイントになる。

 今の原口は必死になってスローイング練習に取り組んでいるだろうが、盗塁阻止は投手と捕手の共同作業。肩の強化だけでなく、今オフから投手とのコミュニケーションをもっと貪欲に深めていくことも大事だ。正妻の座は十分狙えると思う。期待している。(本紙評論家)