今季、57勝83敗3分けで全球団に負け越し、最下位の屈辱を味わったオリックス。投打すべてに苦しみ、オープン戦、交流戦を含めて“完全最下位”となったが、福良淳一監督(56)は、どう巻き返していくのか。秋季キャンプを終えた指揮官が苦しかったシーズンを振り返り、来季への思いを語った。

 ――苦しいシーズンだった

 福良監督:すべてがきつかったね。先発も打線も…。先発が崩れるとなかなかゲームにならない。そんな試合が春先から多かった。

 ――戦前から不安はあった

 福良監督:いや、それはない。このローテならと思ってたんやけど…。それにローテ陣の後に続く投手もいなかった。こっちが考えているのが4~5人いて、ほかに3人くらい作っておかないといけなかった。だから谷間とか、全部星を落としてるやろ。

 ――チーム打率もリーグ最低の2割5分3厘。特に外国人が足を引っ張った

 福良監督:こっちは長打を期待しているし、その意向は(編成に)言ってる。それに合った選手かどうかは見てみるまでわからないからね。三振が多くても一発のある選手の方が相手にとって怖いから。でもそれに当てはまっていなかった。モレルなんかはアベレージヒッターですよ。慣れてきたと思ってもそれが継続しないし、ある程度見ないといけないものもあるし…難しい。言い訳にしかならんけどね。

 ――助っ人に頼りたくない気持ちもある

 福良監督:もちろん。4番をウチの中で打てるのがベストやし、そういう素材を見つけて育てないといけない。

 ――7月に入って借金が20を超えた。途中で“もうできない”と思ったことは

 福良監督:それはない。投げ出したくはなかった。何とか巻き返していかないといけないし、このまま終わるわけにはいかない、とね。まだ他に打つ手はないかな、とか考えていた。

 ――眠れない日々も

 福良監督:いろいろ考えるからね。これでいいのか、とか、このままこの選手を使っていてもいいのか、とか。それでも最後まで戦わないといけない。自分への腹立たしさもあるし、ファンに対して申し訳ないというのが大きいよね。「たくさん球場に来てくれているのにこんな試合を見せていたらどうしようもないぞ」と(選手に)よく言っていた。

 ――監督として1年を終え、最も痛感した部分は

 福良監督:どこまで我慢するか、ということ。選手の起用、先発にしても野手も。今年はいろんな選手を試した。出てきてもらわないと困るからずっと我慢した。でも、本当なら代わりの選手がいるなら代えたい、というのがあっても、代わりの選手がいない。だから勝ち越されても投げさせたりした。

 ――今後も選手との対話路線は変わらない

 福良監督:話を聞かないとどんな考えも持っているのかわからないからね。

 ――オリックスは自由な練習環境とよく言われるが、厳しさは

 福良監督:どれがいいかはわからない。それで成功しているところもあるし、きつくやって成功しているところもある。両極端にあるし、どれが正解かは一概には言えない。今の連中に厳しくやってケガさせたら、というのもある。確かに昔に比べると練習量は少ない。ただ、投げる量、振る量は多くしていくべきとは思う。

 ――個々に考えて取り組むことが必要になる

 福良監督:昔の阪急時代なんかマシンの取り合いになっていたもんね。そこまでやらないとこの世界では食っていけないし、勝てない。でも今の選手はこっちから一方的に言っても動かない。自主性がまだまだ足りない。

 ――オリックスは20年間優勝がなく、最も優勝から遠ざかっているチームになった

 福良監督:ほんと情けないよね。これだけ応援してもらって、期待してもらっていたのにこんな成績しか残せない…。でも今はチームが変わろうとしている時。そういうのを見てほしい。

 ――吉田正、園部らの若手も出てきた

 福良監督:そのあたりを安達、T―岡田、西野あたりが引っ張っていかんとね。それができれば変わる。今季後半はそういうのが少しずつ芽生えてきていたと思う。

 ――上の連中に気を使わんでええ、と。

 福良監督:Tや安達に言ったのは「中島とか(ベテラン)に遠慮することはない。あの辺は自分のことをやらせておけばいい。お前らが引っ張れ」と。そういう意味では変わろうとしている。期待してますよ。