ただのオマケじゃないぞ。巨人に日本ハムからトレードで移籍した吉川光夫投手(28)、石川慎吾外野手(23)が4日、東京都内の巨人の球団事務所で入団記者会見を行った。かつてパ・リーグMVPにも輝いた左腕の吉川光への評価は高く、球団は先発ローテーション入りの期待を寄せている。一方で、若い石川もアピール次第で一気に来季の開幕レギュラー候補に躍り出る可能性もありそうだ。

 待望の先発候補として迎えられた吉川光は、大勢の報道陣に囲まれてやや緊張の面持ち。それでも突然のトレードを引きずった様子は見せず「いい左投手がたくさんいるので、その中で競争に勝ち残っていけるように。元のチーム(日本ハム)が日本一になったので、今度は巨人で日本一になれるよう頑張ります」と力強く宣言した。

 キャンプ地の宮崎入りを遅らせて会見に足を運んだ高橋由伸監督も、あいさつを聞きながら明るい表情。吉川光へ向けて「私も何度か対戦があるが、左のパワーピッチャーという印象。課題があるローテの一角で1年間投げてくれたら」と期待を寄せた。

 吉川光は日本ハムがリーグ優勝した2012年に14勝5敗、防御率1・71でMVPに輝いた。実績十分で期待を寄せられるのは当然だが、石川に関しても、巨人は「掘り出し物が獲れた」とひそかに大喜びしている。

 若手の層が厚い日本ハムではレギュラー奪取はならなかったが、まだ伸び盛りの23歳。石川については、堤GMが「こちらから指名させてもらった」と明かしており、高齢化が進む巨人では20代前半の若さと、外野ならどこでも守れる器用さは大きな魅力で“狙って獲った”新戦力だ。

 由伸監督も「若い選手の台頭はチームの課題。いい競争をして、レギュラー争いをしてほしい」と語ったが、これもリップサービスには聞こえない。現場スタッフは「ウチは今、センターが弱いからね。今季は立岡、橋本到、重信が打てなかったことが響いたし。でも長野はライトに固定したい。補強次第だけど、石川がセンターを守れて、彼らより打てそうだとなれば、監督はきっとすぐに使うよ」と話す。

 東大阪大柏原高時代は、高校通算55本塁打と、あどけなさの残る甘いマスクに似合わないパンチ力が石川の持ち味だ。「インパクトある活躍をして、早く名前を覚えてもらいたい」とさわやかな顔で意気込んだ背番号49にも要注目だ。