
阪神・矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(47)が高知・安芸秋季キャンプで本紙に激白だ。4位に終わった今季を反省しつつ、来季は金本知憲監督(48)が求める“物言う参謀役”としてのフル回転を予告。さらに“育てながら優勝する”宣言もぶち上げるなど、最重要任務である捕手育成からチームの再建について熱く語った。
――コーチ1年目を振り返って
矢野コーチ:引退した後、いつかは指導者になるということを意識しながら野球を見たり、勉強したりしてきたんだけど正直、1年目からそう簡単にはいかないと思っていた。その想像通り、教えるということに対してもっと勉強が必要だなと思わされた1年だった。作戦面の部分で思うようにできたかというと、できていない部分が多かった。チームの順位もそうだし、捕手なんか若い選手とか、経験のない選手を使うという機会が多かったので、どうしてもそういう部分が難しかったというのはあった。
――来季は捕手を固定していきたい
矢野コーチ:絞りたいね。コロコロ代わっているようじゃ、やっぱりチーム状態としてはよくない。ある程度、高い競争の中で1人に絞れるかというと難しいんだけど、1人か2人に絞るような形にもっていきたい。ただ、現状では誰も抜けているものがないから、誰が出てきてもおかしくないと思っている。今年は若手も中堅も横一線という見方をしてきたんだけど、来年は違ってくる。今年の岡崎(太一捕手=33)のようにチャンスを与えられるかというと、それは難しい。もし、中堅と若手が同じレベルなら若い選手を優先する。
――ファンは原口文仁捕手(24)への期待度が大きい
矢野コーチ:うん、そうだね。打てる捕手というのはもちろん必要なんだけど、それはセールスポイントのプラスアルファの部分なんだよ。セールスポイントだから、そこは大きく伸ばしてほしいんだけど、まずは守りのレベルが上がってこないとね。
――阪神から侍ジャパンの正捕手を送り出すという気持ちは
矢野コーチ:正直、侍のチャンスは今だってあるわけだよ。レギュラー捕手自体が、どこのチームだっていないわけだからね。レギュラーになった時点で侍というのは勝手に近づいてくるものなんだ。だから、今の時点では俺の中でそこは意識していない。でも、チームのレギュラーになった時点で侍に呼んでもらえるチャンスは出てくるわけだから、結果的に回っていくと、そういう選手を育てたいというのはもちろんあるよ。ただ、ウチは現状、そこを目標に置けるような捕手のレベルにないからね。今の目標は自立した捕手を育成することだよ。
――今季リーグワーストの与四球498を減らしていきたい
矢野コーチ:確率的に3割はヒットという中で無条件に塁を与えているわけだからね。意味ある四球、意味ない四球があると思うんだけど、それだけ数が多いとやっぱり減らしていかないといけない。まずはゾーンの中で勝負できるというのが理想。数字的に400を切るというのは、目指そうと思えば目指せる数字だと思っている。
――若い選手を積極的に起用するチームだが、若手に足りないモノは
矢野コーチ:もっとファンを意識して自分をアピールしてもらいたい。俺らはタイガースというユニホームを応援してもらっていると思うんだよね。そこからタイガースの原口を応援したいとか、そういうふうになっていかないとダメなんだ。そういう部分でもっと自分をアピールするというか、俺を見てくれとか、いい意味でがめつさとかね。今のウチで言うと西岡(剛内野手=32)みたいな野球小僧的な選手。グラウンドに出た時に魅力みたいなものを出してほしいし、もっと自我を出していってほしいね。それは華じゃなくてもいいんだよ。藤井(彰人ファーム育成コーチ=40)みたいな“味”のある選手でもいい。ファンにアイツのことを応援したいなと思わせるものを出してほしい。
――金本監督たっての希望で入閣したコーチとして来季、監督をどう支えたいか
矢野コーチ:就任の時「矢野には意見してもらう、意見してくれ」と監督に言われて入ってきた。ただ経験がない中で遠慮があったり、言ってもいいのかなって迷う部分もあった。おそらく監督は、そういう部分で今年は俺に物足りなさを感じていると思う。俺自身そう思ったから、もっともっと意見していいのかなと思っている。お互いチームを強くしたい、若い選手を良くしたいという考えは同じことなんで、もうちょっと入り込んでいっていいのかなと思っている。来季に向けて、この秋季キャンプから何かあれば意見していきたい。
――最後に来季の目標を
矢野コーチ:もちろん優勝しかない。勝ちながら育てると言うと、俺らに都合のいいように聞こえるけど、今の阪神にはそれが必要。プロでやっているので負けていいことはない。勝って、その中で今年チャンスをもらえた選手がチャンスをもらったところから自立していくようなシーズンに来季はしたい。そういう意味で捕手も投手も若い選手がチームを引っ張っていきながら、ベテランが負けられへんという気持ちでついて来て、チームが活性化していくのが今の阪神には必要。来年はそういうシーズンにしないといけない。今年と同じじゃ、ファンも育成だけで納得してくれないと思っているんで、そこは意識しているよ。